米国製エリートは本当にすごいのか?
自身の2年間の米国留学経験を通じて感じたことをまとめた本。「米国製エリート」に限らず、政治、歴史、英語学習法など様々な話題に触れているが、かと言って散漫な印象もなく、一貫した印象を受けるのは、筆者の強い”思い”がその根底に伏流しているからか。但し、その”思い”が何に対するものなのかは上手く説明ができない。生まれ育った日本に対する愛情とも言えるし、世界に対する強い興味と関心(感心)とも言えると思う。また一方でそうした「国家」概念とは別に、「知」と「現場」に対する敬意もあり、その全体的なモチベーションの高さ、スケールの大きさ、バランスの良さもあいまって、なかなか気持ち良く読むことができました(若い割にこれだけの内容を盛り込めるのは素直にすごいと感じた)。最後の日本のオリジナルエリートの話も含め、共感できる箇所も多かったです。
学問のすすめ 現代語訳 (ちくま新書)
一度は、読んでみたいと思っていた「学問のすすめ」。正直、これまで、文語体で読みにくく、手にとったことはあるが、残念ながら、読み通したのは、あの斎藤孝さんの手による、この現代語訳が初めてでした。
「学問のすすめ」というくらいだから、学生向きの勉学の推奨の本くらいのつもりで、読みました。読んでみて、本当に驚きました。内容が、私のようなビジネスパーソン歴20数年のようなものでも、目から鱗の「日本最強のビジネス書」と言えるだったからです。
その訳を考えてみると、福澤諭吉は、学問の世界での偉人というだけなく、経済人としても大成功を収めた人だったからです。
どうすれば仕事ができるのか、成功できるのかということを、福澤諭吉の強烈な考え方や息づかいまでを感じられるような、素晴らしい本です。本書は、まさに、福澤諭吉自身の言葉で
読む人を元気づけ、そして、学んだり、働く気持ちに火をつけてくれます。本書は、学生はもちろんですが、むしろ、ビジネスパーソンこそ、福澤の言葉をかみ締めながら読み、仕事に対する意欲を書き立ててくれる日本歴史史上に残る名著だと、深く感動いたしました。
ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)
経営戦略をステークホルダー等に浸透させる際にストーリーとして成り立つことが重要だということはよくわかる。ただ、それはこの本を読む前からみな何となくは分かっている話であろう。この本で取り上げているような世界中の一握りの成功事例を持って、ストーリーがどのようにあるべきか、成功に近づけるのかを判断するのは困難であり、経営実務としての汎用性は低い。このくらいのメッセージを伝えるのにこのボリュームは厚すぎる。
個別の案件は丁寧に説明しているため、人にプレゼンし説得するときなどはこの本の内容や文章の構成など参考になるだろう。