最後の忠臣蔵 [DVD]
幾多の忠臣蔵作品で、後日談物は初めてだったのでひかれました。鑑賞し終わった後に原作を読んでみたくなるほど、とても良かったです!主演の上川さん始め、豪華なキャストとその演技力も素晴らしく、美しい言葉遣い、心に留めておきたい名台詞の数々を見つけることが出来ました。「忠義に死するは容易なこと、生くることこそむつかしい・・・」「忠義に死んだものは誉れに高く、残されたものはぶざまな生きようをしいられる」この時代のそれぞれにおかれている立場の考え方の相違、想いなどが描かれており、忠臣蔵ファンならずとも見ていただきたいですね。いろんな意味で日本人の心底に流れる思想を揺り起こしてくれるような静かで力強い作品でした。
高杉晋作(上) (講談社文庫)
この本を読むと坂本竜馬や西郷隆盛、伊藤博文などがすべて小者に思えてきます。
彼こそが持続した強い意志をもって長州を復活させて明治維新を成就させた第一の功労者だと
この本は教えてくれます。
彼の名が昨今取りはやされている坂本竜馬などに比べてあまり聞こえてこないのは
維新が成立する前に死んでしまったことと、彼の情熱が長州藩の復活ということに
集中して注がれた為に偉業としては狭いもののとして扱われてしまったことであると
思うが、
長州藩の復活なくして明治維新は成り立たなかったことと、後の新生日本を作り上げた人物が強く
晋作の影響を受けていることからも彼は大一級の革命者だと思います。
史実に忠実でありながら痛快に読める最高の歴史書です。
島津奔る〈上〉 (新潮文庫)
冒頭、秀吉晩年の愚挙、朝鮮出兵での島津義弘軍の鬼神のごときいくさぶりに度肝を抜かされる。「石曼子(シーマンズ)。かの地では、このときの戦闘以降、数百年に渡って石曼子きたるといえば泣く子も黙ると語り伝えられる」こんな書き出しで物語がスタートする。上下巻各450ページほどのボリュームだが一気に読ませる。あらすじは、朝鮮出兵以降、関ヶ原の戦いをピークとするよく知られた戦国末期の歴史を、薩摩島津の側からえがいたもの。やはり、あの有名な関ヶ原合戦での敵中突破、決死の退却行がクライマックスで、3万人余りの東軍のど真ん中を僅か600の島津勢が中央突破をはかる。しかも、家康の本陣を蹴散らし、追走する井伊直政に深手を負わせる。そして、甥の島津豊久や腹心の部下が「関ヶ原以後の薩摩のために島津義弘を死なせる事はできない」という思いから自らが盾となってついに逃がしてしまうのである。また、戦場を離れてから船に乗り込むまでの逃走行がスリリングで手に汗握る展開だ。そして、私の一番好きな場面は下巻の最初の部分、伏見の島津屋敷に西軍の石田三成から再三に渡って参戦するようにとの使者が来る。しかし伏見の島津勢は千に満たない兵力。いかに知略に長けた島津義弘でもこれでは兵力が少なすぎる。薩摩に書状を出し援兵を頼むが、国許の兄義久は兵を出さない。その時、なんと、義弘の窮状を聞きつけた足軽兵たちは畑仕事の鍬を放り投げて走り出す。薩摩から肥後、筑前、そして関門海峡を船で渡り、中国路を走るころには彼らは疲労困憊、着物はボロボロ、負傷している者も多い。いつしか彼らの走る訳が知らされ、沿道の人たちに感動が広がった。
以上とりとめもなく書いてきたが、とにかく面白い。場面場面の映像が見えるようである。極上の戦国エンターテイメント小説とでも言っておこう。
高杉晋作(下) (講談社文庫)
よく「俺は太く短く生きたい」という言葉を耳にしますが、そのような生き方にどれだけの犠牲を払わなくてはいけないのかが高杉晋作の生き方を見て分かります。この本では高杉晋作にまつわる俗説をより史実に近い形に訂正することにより、よりリアルな高杉晋作像が浮かび上がっています。
自ら「面白きことも無き世を面白く」と詠んだ詩に代表される高杉晋作の生き様と、「動けば雷電のごとく、発すれば風雨のごとし」と表された彼の行動力がいつまでも人を魅了します。
明治維新は坂本竜馬が10名いても成立しなかったと本書に書いてあります。
確かにその通りだと思います。幕末の長州藩に高杉晋作という一人の天才がいたことに我々はいくら感謝してもしすぎることは無いと思います。