松本人志 仕事の流儀(ヨシモトブックス)
昨年、NHKで放送された松ちゃんのドキュメント「仕事の流儀」。
その中で語られなかった部分も含めての書籍化ということで、即買いしました。
確かに内容的には非常に興味深いもので、それぞれのテーマについて、
今の松ちゃんが考えてることなどが知ることができて、良かったと思います。
ただ、このページ数でこの文字の大きさと行間では、正直物足りないと
思う気持ちは否めません。最初に値段ありきで作られたのでは?と
勘ぐりたくなります。文字を大きくし、行間を取り、ハードカバーにする。
松ちゃんだから、こうなったのでしょうね。他の人だったら、
何人か合わせて、1冊の本になっていたと思います。
内容的には良かっただけに★3つとさせていただきます。
大日本人 通常盤 [DVD]
ビジュアルバム含め彼の作品を9割方見てきている私はいわゆる「松本信者」ですが
正直この作品はそんな面白くはないです。
昔、松本さんが作った頭頭(トウズ)っていう映画みたいな作品があるんですが
それに近い印象で、「クスッとくるんだけど爆笑までは行かない、乾いた笑い」の連続でした。
松本さんの笑いは心情や状況を読んでこそ笑える、ホントに細かくて繊細なモノなので
見る人を選んでしまうのは、もうしょうがないでしょう。
「そんなこといちいち気にしねぇよ!」っていう人の方が大多数な訳ですから。
ヒーローの日常をドキュメントで写すアイデアは面白いです。
CGでリアリティぶち壊してる感じも嫌いじゃない。
でもドキュメントパートで奥さんが出てくるあたりからどんどんドキュメント
のリアリティが無くなっていき、CGパートでコントしたり戦ったり、
結局どっちがしたいの?と映画の方向性が分からなくなりました。
最後の実写コントは別にいいのですが、そこに行き着くまではちゃんと映画やってた方が
効果的だったのでは?なんかいろいろ詰め込み過ぎてる感がありました。
そういう意味で余計な贅肉がそぎ落とされている過去のビジュアルバムの
傑作達と比べても面白くはありません。
実は同じ巨人ネタをビジュアルバムで「巨人殺人」というコントでやってるんですが
そっちのほうが断然好きですね。
日本映画空振り大三振 ~くたばれ!ROOKIES (映画秘宝COLLECTION 41)
エド氏がときに暴走気味にツッコミまくるのを、ガース氏がときに背景を説明するなどでフォローしたり、ときにさらにかぶせて罵倒して、そのやりとりの中をクマちゃんがいろんなことを自由にしゃべっている(笑)。ただの罵倒ではなく、有象無象の映画知識が凝縮されていて口は悪いけれど姿勢は真摯なので、爆笑しながらも勉強になりならがら全編興味深く読んだ。それにしても「ROOKIES」あたりの罵倒のしかたはすさまじく、かえって恐いもの見たさでちょっと観てみたくなったりなんかした(観ませんが)。
最後に「最低映画賞」各賞の発表があってさらにそのあとに「まとめ」までついていて、そこではトルネードフィルムの件とか(叶井氏評が面白い)、不景気風の吹きすさぶ業界の構造的な問題についてなどが語られている。最後の最後まで充実した1冊です。
しんぼる [DVD]
なんでこんなことするんだろう(もちろん悪い意味で)、の連続。退屈。メキシコパートのオチを待たずして飽きてくる。ラストの展開も、どうせやるならもっと不可解に見えるようにすべきだった。あれじゃあ観終わったあと、薄っぺらな印象だけが残ってしまう。ダメなところを挙げだしたらホントきりがない。内容について酷評してる人たちの意見は往々にして正しいと思う。「しんぼる」は完全なる失敗作だ。
ただ、唯一にして最大の救いは、失敗の仕方を失敗しなかった、ということ。
たとえば、M1の決勝のここぞというところでいつもすべってしまう笑い飯を誰もが来年も見たいと思うように、たとえば、アメリカの書評家連中から散々叩かれたティム・オブライエンの小説を下手なところが好きと言って村上春樹が偏愛しているように、真に志をもって作られた失敗作は、下手であろうがすべっていようが、次こそは、と、こちらに期待を抱かせる。そういった意味において、「しんぼる」は、失敗の仕方は失敗しなかった。それが証拠に、的確な映画評論で知られるライムスター宇多丸は「しんぼる」について、その内容とまっちゃんの映画監督としての未熟さをけちょんけちょんに批判したうえで、それでも三作目が作られれば自分はやっぱり観に行くだろうと語っている。こういうところが同じ失敗作でも、「踊る大捜査線THE MOVIE 3」なんかの失敗とはぜんぜん違う。失敗の質の問題。
コントでいいじゃん、という批判もあるみたいだけど、そういう批判をする人たちにかぎって、昔のごっつやガキ使に固執し、DVDやYOUTUBEで昔の映像をくり返し観ては、「このころのまっちゃんはおもしろかったなあ」などと嘆いていたりするんだ。未来を観ましょうよ。お笑い映画という未来を。応援してあげようよ。現状こんな挑戦をすることが許されてるのは、実力的にもポジション的にも、きっとまっちゃんだけだもん。
誰も観たことのないお笑い映画、あなたは観たくないですか? 僕は観たいけどなあ。