ダイオウイカは知らないでしょう
西さんとせきしろさんの短歌は「なんだか短歌」という言葉が似合う。
西さんはエキセントリックな言葉選びとテンポ、物語を込めようとする。
せきしろさんは細やかな目線、含ませた寂しさ、情景を切り取ろうとする。
二人の性格や作風が正反対で、その対比が面白かった。
個人的には、せきしろさんの短歌に惹かれることが多かったです。
特に「いつもそこに白い肌の人がいて触れる前には手を洗うんだ」は、
その情景の美しさにひれ伏したくなります。
西さんの短歌は設定が細かくて、伝わりにくいこともしばしば。
「シワ加工ツモリチサトにアイロンをかける母髪白く白くて」には、
ハッとさせられました。短編で読みたいほどの濃密さです。
お互いの短歌にちなんだエッセイも同時収録で、こちらもしっかり面白い。
歌人に芸人に音楽家など、多くの有名人との対談形式でもあり、
様々なジャンルに興味の湧く一冊です。おすすめ。