エデンの東 [DVD]
さすが聖書を下敷きにしているだけある。
人間の性、がそこにあるんでしょうね。
しかし、ジンームス・ディーン、いいですね。
確かにこの役は適役ですよ。
理由なき反抗、もいいんでしょうが、私はこの方が好きですよ。
甘えと反抗はいつも背中合わせですから。
それがよく出ていると思います。
でもやはり一番は音楽ですかね。
この時代の映画音楽は本当にいいものが多いですね。
音楽だけでも全然聞けます。
人間の性、がそこにあるんでしょうね。
しかし、ジンームス・ディーン、いいですね。
確かにこの役は適役ですよ。
理由なき反抗、もいいんでしょうが、私はこの方が好きですよ。
甘えと反抗はいつも背中合わせですから。
それがよく出ていると思います。
でもやはり一番は音楽ですかね。
この時代の映画音楽は本当にいいものが多いですね。
音楽だけでも全然聞けます。
East of Eden
スタインベックの故郷であるカリフォルニアのサリナスを舞台に,人間が人間たる所以とは何かということを著した長編大作。
題名である 『エデンの東』 というのは,楽園を追放されたカインが罪を背負って生きてゆく地のことだ。 旧約聖書におけるカインとアベルの物語で人間は初めて愛と憎しみという感情を抱くようになる。 また筆者の解釈によれば,カインを追放するとき神様は初めて “You may〜” という言葉をつかい,人間の意思というものを尊重する。 つまり本当の意味での 『人間』 が誕生するのはカインが楽園を追放されたときであり,カインが向かった 『エデンの東』 とは,まさに 『人間の生きる世界』 ということなのだろう。
また,この物語でリーという中国人の召使が重要な役割を演じている。 彼をして筆者の意見を代弁させ人間観を語らせているのであるが,それだけでなく彼と筆者の祖父や,ヒロインの女の子とのやりとりを通じて,読者が抱く人種的偏見や異文化に対する先入観のようなものを見事に打崩している。
そのほか引用したくなるようなスタインベックの人生訓が,本文のあちこちに散りばめられていて,実に読み応えのある一冊だった。
題名である 『エデンの東』 というのは,楽園を追放されたカインが罪を背負って生きてゆく地のことだ。 旧約聖書におけるカインとアベルの物語で人間は初めて愛と憎しみという感情を抱くようになる。 また筆者の解釈によれば,カインを追放するとき神様は初めて “You may〜” という言葉をつかい,人間の意思というものを尊重する。 つまり本当の意味での 『人間』 が誕生するのはカインが楽園を追放されたときであり,カインが向かった 『エデンの東』 とは,まさに 『人間の生きる世界』 ということなのだろう。
また,この物語でリーという中国人の召使が重要な役割を演じている。 彼をして筆者の意見を代弁させ人間観を語らせているのであるが,それだけでなく彼と筆者の祖父や,ヒロインの女の子とのやりとりを通じて,読者が抱く人種的偏見や異文化に対する先入観のようなものを見事に打崩している。
そのほか引用したくなるようなスタインベックの人生訓が,本文のあちこちに散りばめられていて,実に読み応えのある一冊だった。
エデンの東 [DVD]
この映画を見て感じたのは、時代や文化が変わっても人間の考えることはあんがい同じだなあということである。
誰もが善人だと思い、自分でもそう信じ込んでいる父親アダム、彼が寵愛する兄のアロン、父親に愛されなくて、それゆえに反抗する弟のキャル(ジェームズ・ディーン)、アロンの婚約者でありながら次第にキャルに惹かれるアブラ(ジュリー・ハリス)、一家を捨ててしたたかに商売をしながらも、キャルとの再会後に母親としての感情を思わず出してしまうケイト、彼らの愛憎を最初はゆるやかに、次第に速度を上げ、最後はジェットコースターのようにラストシーンに物語は突き進む。
この映画の本当の主人公はキャルではなくてアブラだ。草原でキャルに自分の苦い少女時代の体験を打ち明けるシーン、観覧車で思わずキャルにキスを許すシーン、父親から誕生日の贈り物を拒否され嘆き悲しむキャルを慰めるシーン、そして脳卒中で死に瀕した父親とキャルとを何とか仲直りさせようとするシーン、そのどれもがごく自然でありながら全身を使ったすばらしい演技であり、観る者をスクリーンに引き込もうとする。
ジョン・スタインベックの原作は大河ドラマであり、映画はその最後の章を使ったにすぎない。アロンとキャルも映画に比べて公平に描かれており、アブラの慈愛あふれる描写もない。
「完全な善人などいない。しかし誰でも心がけ次第で善人にも悪人にもなれる。大切なのは他人をおもいやること。」映画で言いたかったことはこの一言に尽きる。
「大衆は何を欲しているか。」エリア・カザンは熟知していたと思う。難解な原作を「誰にでも分かりやすく、感動的に演出した」ところに、彼の巧さと狡さがある。
誰もが善人だと思い、自分でもそう信じ込んでいる父親アダム、彼が寵愛する兄のアロン、父親に愛されなくて、それゆえに反抗する弟のキャル(ジェームズ・ディーン)、アロンの婚約者でありながら次第にキャルに惹かれるアブラ(ジュリー・ハリス)、一家を捨ててしたたかに商売をしながらも、キャルとの再会後に母親としての感情を思わず出してしまうケイト、彼らの愛憎を最初はゆるやかに、次第に速度を上げ、最後はジェットコースターのようにラストシーンに物語は突き進む。
この映画の本当の主人公はキャルではなくてアブラだ。草原でキャルに自分の苦い少女時代の体験を打ち明けるシーン、観覧車で思わずキャルにキスを許すシーン、父親から誕生日の贈り物を拒否され嘆き悲しむキャルを慰めるシーン、そして脳卒中で死に瀕した父親とキャルとを何とか仲直りさせようとするシーン、そのどれもがごく自然でありながら全身を使ったすばらしい演技であり、観る者をスクリーンに引き込もうとする。
ジョン・スタインベックの原作は大河ドラマであり、映画はその最後の章を使ったにすぎない。アロンとキャルも映画に比べて公平に描かれており、アブラの慈愛あふれる描写もない。
「完全な善人などいない。しかし誰でも心がけ次第で善人にも悪人にもなれる。大切なのは他人をおもいやること。」映画で言いたかったことはこの一言に尽きる。
「大衆は何を欲しているか。」エリア・カザンは熟知していたと思う。難解な原作を「誰にでも分かりやすく、感動的に演出した」ところに、彼の巧さと狡さがある。
エデンの東 新訳版 (2) (ハヤカワepi文庫)
作中で中国人リーは語る、アメリカ人は腰の落ち着かない人々の子孫です。神経過敏な人、犯罪者、口論好き、喧嘩好きの子孫です。でも、同時に勇敢で、独立心が強く、寛大な人々の子孫であります。祖先がそういう人でなかったら、旧世界の猫の額ほどの土地にしがみつき栄養不良の土地をたがやかしながら、餓死していたことでしょう。
サミュエル・ハミルトンとサイラス・トラスクはそのアメリカの光と影を象徴するように第一部で登場するが、この第二部ではサイラス・トラスクの息子アダムがサリーナスに入植し、そこでサミュエル・ハミルトンそして妻となる悪女キャシーと出会う。作品は一気に面白い展開を見せ、息もつかせぬ展開となる。
サミュエル・ハミルトンとの登場シーンはみずみずしく楽しく、豪快に、キャシーの出現では、一転、怪奇ミステリー小説を読んでいるかのように場面場面で、めまぐるしくトーンが変化していく。驚くのは、そのような変化をいとも軽々しく成し遂げていく作者の文筆家としての力量であろう。
サミュエル・ハミルトン、そして中国人召使リーに肩入れしながら、一気に話に引き込まれた第二部であった。
サミュエル・ハミルトンとサイラス・トラスクはそのアメリカの光と影を象徴するように第一部で登場するが、この第二部ではサイラス・トラスクの息子アダムがサリーナスに入植し、そこでサミュエル・ハミルトンそして妻となる悪女キャシーと出会う。作品は一気に面白い展開を見せ、息もつかせぬ展開となる。
サミュエル・ハミルトンとの登場シーンはみずみずしく楽しく、豪快に、キャシーの出現では、一転、怪奇ミステリー小説を読んでいるかのように場面場面で、めまぐるしくトーンが変化していく。驚くのは、そのような変化をいとも軽々しく成し遂げていく作者の文筆家としての力量であろう。
サミュエル・ハミルトン、そして中国人召使リーに肩入れしながら、一気に話に引き込まれた第二部であった。
エデンの東 [VHS]
この作品を最初に見たのは大学時代だったと思うが、それ以来劇場を含めて4回見ている。今回ロンドン旅行からの帰りの機内でこの作品を約10年ぶりに見たが、素晴らしい作品は何度見てもいいなと感動した。
原作はアメリカの巨匠ジョン・スタインベックの大作で、こちらも素晴らしい作品なので未読の人には是非お勧めしたい。この作品を読んで映画を見ると、更に深くこの映画を理解することができる。
主人公はジェームス・ディーン扮する農場の次男キャル。彼は父親の愛情が兄にばかり注がれることに苛立ち反抗的な態度を繰り返すが、内面では真面目で善良な父と兄に比べて自分は悪人なのではないかと悩み苦しむ。この善と悪は原作の大きなテーマだと思うが、単純な善悪ではなく、善良な人間が実は独善的で他人を傷つけることがあることをこの作品でも見事に描いている。
キャルと兄の恋人のアブラの観覧車でのキスシーンや、最後に病室でアブラが父と息子の絆を取り戻させようと二人に説くシーンは何度見ても感動的だ。
原作はアメリカの巨匠ジョン・スタインベックの大作で、こちらも素晴らしい作品なので未読の人には是非お勧めしたい。この作品を読んで映画を見ると、更に深くこの映画を理解することができる。
主人公はジェームス・ディーン扮する農場の次男キャル。彼は父親の愛情が兄にばかり注がれることに苛立ち反抗的な態度を繰り返すが、内面では真面目で善良な父と兄に比べて自分は悪人なのではないかと悩み苦しむ。この善と悪は原作の大きなテーマだと思うが、単純な善悪ではなく、善良な人間が実は独善的で他人を傷つけることがあることをこの作品でも見事に描いている。
キャルと兄の恋人のアブラの観覧車でのキスシーンや、最後に病室でアブラが父と息子の絆を取り戻させようと二人に説くシーンは何度見ても感動的だ。