センセイの鞄 : 1 (アクションコミックス)
双葉社と谷口ジローの関係は本当に長い。谷口ジローの作風が変ってからもずっと続いている。現在の作風(と画風)になってからの谷口ジローの作品は非常に地味で大ヒットを飛ばすとは到底思えない(とはいえ昔もヒット作がない)のだが、それでも両者の関係が切れることはなかった。現在の谷口ジローは自分の描きたいように描いているように思う。単純なわたしは、この厳しい時代、売り上げに貢献するとは思えない、彼の地味なマンガを連載するという事実だけで双葉社を尊敬してしまう。
この小説を原作とすることを谷口ジロー自身が思いついたのか、編集者が提案したのかはわからない。そして、わたしは原作を未読なので彼が原作をどの程度忠実に再現したのかどうかはわからない。
ただ、彼が「ほとんど小説のままに、センセイとツキコさんといっしょに歩いてみよう。そう思った。」という文章を寄せているので、きっと、彼は原作の世界を忠実に再現しようとしたのだろうと思う。
でも、出来上がったのは(まだ完結していないが)はやっぱり谷口ジローの世界だなぁと思わせるものだった。ツキコとセンセイの距離感、漂う空気は谷口ジローの作品そのものだった。
私は彼が劇画(本人は劇画を描いていたつもりはないらしいが)の時代からのファンであり、彼の作風の変化も見続けてきたつもりだ。どの時代の作品も好きで、新作が発表されるたびに喜んでいるのだが、その度に現在の彼にどうしても描いて欲しい作品を思い浮かべてしまう。それは「事件屋稼業」の続編だ。これは、谷口ジローの初期の代表作なのだが、私が今一番読みたいのは年齢を重ねた谷口ジローが描く年老いた主人公「深町丈太郎」なのだ。
彼の作風が現在の静謐なものとなってから長い時間が流れている。絵柄も変化している。そんな彼が初期の作品の続編を描こうとする気持ちはないように思う。でも、彼の描くマンガを読み続けてきた自分は、ここ数年彼の新作が発表されるたびにそんな気持ちが強まっていくような気がしている。
この小説を原作とすることを谷口ジロー自身が思いついたのか、編集者が提案したのかはわからない。そして、わたしは原作を未読なので彼が原作をどの程度忠実に再現したのかどうかはわからない。
ただ、彼が「ほとんど小説のままに、センセイとツキコさんといっしょに歩いてみよう。そう思った。」という文章を寄せているので、きっと、彼は原作の世界を忠実に再現しようとしたのだろうと思う。
でも、出来上がったのは(まだ完結していないが)はやっぱり谷口ジローの世界だなぁと思わせるものだった。ツキコとセンセイの距離感、漂う空気は谷口ジローの作品そのものだった。
私は彼が劇画(本人は劇画を描いていたつもりはないらしいが)の時代からのファンであり、彼の作風の変化も見続けてきたつもりだ。どの時代の作品も好きで、新作が発表されるたびに喜んでいるのだが、その度に現在の彼にどうしても描いて欲しい作品を思い浮かべてしまう。それは「事件屋稼業」の続編だ。これは、谷口ジローの初期の代表作なのだが、私が今一番読みたいのは年齢を重ねた谷口ジローが描く年老いた主人公「深町丈太郎」なのだ。
彼の作風が現在の静謐なものとなってから長い時間が流れている。絵柄も変化している。そんな彼が初期の作品の続編を描こうとする気持ちはないように思う。でも、彼の描くマンガを読み続けてきた自分は、ここ数年彼の新作が発表されるたびにそんな気持ちが強まっていくような気がしている。
父の暦 (ビッグコミックス)
個人的には、谷口氏の最高傑作と思う。舞台は、谷口氏の故郷の鳥取市。幼い頃の両親の離婚で、主人公の男性は、父親にわだかまりをもったまま成長。
進学を機に、上京し、卒業後も東京に就職する。そして、十数年。突然の父の死で、葬儀のために帰郷した主人公は、集まった親戚らの話から、知らなかった父の本当の心を知る。わだかまりは自然と消えていた。ラストシーンは、なかなか感動もの。
故郷を離れて暮らす人には、特に、心にじんとくる話と思います。
進学を機に、上京し、卒業後も東京に就職する。そして、十数年。突然の父の死で、葬儀のために帰郷した主人公は、集まった親戚らの話から、知らなかった父の本当の心を知る。わだかまりは自然と消えていた。ラストシーンは、なかなか感動もの。
故郷を離れて暮らす人には、特に、心にじんとくる話と思います。