日本人並びに日系企業の国際競争力の無さが指摘されて久しいが、ここで出てくる「東洋的リーダー」は、
英語もプレゼンも論理的思考も下手な日本人が、それでも国際舞台でリーダーとして機能出来るための一つのモデルになるかもと思った。後半は、そういったグローバルで通用するリーダーに近づくために今日からどうしたら良いかということが、決して目新しい手法や理論ではないが、わかりやすく、実践し易く書いてある。実際に外資大手の社長までした人が執筆したからか、具体例やエピソードが実に的を射ている。特に、「B部長」なるキャラクターを登場させているところが秀逸。B部長は、リーダーシップ論だのコーチングだのをそこそこ読みかじっていて、ソフトで人当たりも悪くない。常ににオレ様で、部下を怒鳴り付ける「A本部長」よりはかなり良く映る。だが、筆者はずばりB部長タイプこそ組織にとって一番の問題と指摘。「コーチング型マネージャー」礼賛の書物は星の数ほどあれど、それを形だけ模倣することの偽善と弊害をここまではっきり書いたものはあまり無いのではないかと思う。自分はコーチング手法を部下のマネジメントに取り入れているという人にこそ読んでもらいたい。読んだ人は、苦笑いと共に、嫌でも自身の「B部長度」を振り替えさせられ、猛省せざるを得ないだろう。