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太陽の牙ダグラム+装甲騎兵ボトムズ (サンライズ・ロボット漫画コレクションvol.2)
太陽の牙ダグラム」、本作のコミカライズは講談社「コミックボンボン」に掲載された「森藤よしひろ」版がファンの間で有名だが、秋田書店版テレビマガジンとでも言うべき「冒険王」紙上でも、幾多の有名ロボットアニメのコミカライズを手がけてきた「岡崎優」によって連載された。

当時約一年半の長きにわたり放映されたアニメ版にあわせ、コミカライズ作品としては異例の長期連載となった本作は発表より四半世紀の時を経て、ついに初の単行本化を果たした、これもサンライズという企業のもつ実績のなせる業と思うが、漫画の歴史の影に埋もれたコミカライズ作家達の作品がこういう形で世に出ることは、漫画界全体にとっても一漫画ファンにとっても喜ばしい事だ。

また、雑誌の版形が異なるため、単行本化が危ぶまれた「装甲騎兵ボトムズ」も同時収録されたことも喜びに拍車をかける、

(ところで当時から気になっていたのだがダグラムの最終回のナレーション「そして牙をもつものはみんな死んだ、」「新たに生きるための死であった」は、森藤版でもつかわれており、アニメ版最終回には存在しない、ひょっとして脚本の準備稿に存在していたのだろうか?どなたか詳しい方、ご教授願いたい。)

ダイターン3、ザンボット3もまさかの復刻をはたしたこの上は、おなじく冒険王(後にTVアニメマガジン)に連載されたサンライズ作品、愛沢ひろし版ザブングル、杉山たかゆき版ダンバイン、エルガイム、アオキリン(シュン・タロー)版バイファム等も是非復刻して欲しい。(サンライズ作品ではないが増田ジュン版マクロス、オーガスも是非、)

雑誌内での人気に係わらず、TV放映とともに終了するのが運命のコミカライズ作品たち、こうして初めて単行本化されたことで「新たに生きる」事となったのだ。

「この度の復刻企画に尽力された方々、および時を隔てても魅力を失わぬサンライズ作品、そして数十年ぶりに本シリーズの表紙イラストを描きおこしたベテラン作家の先生方に敬意を表します。」

群棲 (講談社文芸文庫)
本作は谷崎賞受賞の黒井千次氏の代表作とされている。1984年発表だから、もう30年近い歳月が経っている。確かに80年代初期における時代の空気を感じさせる作品だ。
都会の近郊住宅地に住む向こう二軒片隣の四家庭を舞台として、各家庭の日常の中に潜む閉塞感が描かれている。全12章からなる作品であるが、ふつうの長編小説とは異なり、各章ごとに四家庭のうちのいずれかの家庭に焦点を当て、章が変わるごとに話題が変わるので各章が独立した短編のようでもある。しかし、全編を通じて3回乃至は5回は登場する各家庭の話題にはつながりがあり、近隣家庭の様子が外側から描かれる事もあるので、結局は各章が前に描かれた話題との関連性を持つ仕組みになっている。連作短編集のようでありながら各章がつながり合い補完し合いながら、同じ一角に住む四家庭の各人の生き様、<群棲>のさまを全編にわたって描いているのだが、各家庭、いやすべての登場人物は所詮、お互いに孤立しており、いかにも現代的な個人主義的な営みの中に終始している。年寄りも、夫婦も、若い息子や、子供でさえも。
各章では人々の日常生活の中に起きるちょっとした異変を通じて、現代人の閉塞、行き場のない孤独が浮き彫りにされている。とりわけ、妻たちの鬱屈した心理がよく捉えられている。各夫婦は高齢であるほど旧来の夫唱婦随的な残影を引きずっているが、いずれの妻(嫁・母でもあるが)も、満たされる事のない一女性としての自我を持てあましている姿が印象的だ。特に四家庭で一番若い木内家の夫婦などは戦後民主主義的・個人主義的な価値観に最も強く支配されているからでもあろう、すでに決定的な破綻に達してさえいる。各家庭の姿は様々であるが、多かれ少なかれ妻たちの閉塞感は、夫や息子娘たちにも感染している。
ここには強烈なドラマも鮮やかなストーリー展開も決定的な悲劇もないが、家庭崩壊が進行し希望的な未来を見出す事のできない病める現代人の救いがたさが描かれていると言ってよい。
よりによって、この四家庭は、いずれも鬱屈した心を抱えた人たちばかりが互いに集まってしまったようにも見える。世間は広いんだから、みながみな、例外なく閉塞感に息詰まっているわけでもあるまいが、作者は現代人のやり場のない閉塞感と孤独を象徴的に描いて見せたかったのだろう。
戦後30年以上経て高度成長時代を迎えたものの、人々の心は必ずしも満たされる事なく、閉塞と孤独の深みにはまり込んでいる、そういう時代だったのだ、バブル崩壊前の日本は。
そして、この傾向は今もさほど変わらず、むしろ、さらにひどくなっている。
だが、救いは本当にないのか?いや、そんなことはない。救いがたさをもたらしているのは、自分自身のはずである。
そういうところまで筆が届いていれば、本作はもっと面白かっただろう。

語らずに死ねるか! 無名の元兵士たちの声 [DVD]
戦争体験者ご本人の生の声をまとめたものは希少ですね。
当時の状況がリアルに伝わってきます。
特攻で兄を亡くした方の話が印象的でした。

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