佐渡裕 指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 武満徹:フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 [DVD]
佐渡さんのNHKでのドキュメンタリーを見た後で、フルで見ました。
少年時代の夢を叶えた演奏にしびれました。
プロやマニアの方からすると意見はあるのかもしれませんが、
本当に全身全霊をかけた指揮による本人の感激がダイレクトに伝わってきました。
仕事で考えなければならない壁が見えたとき、
部屋でこのDVDをかけて「実現のために何を本当にすべきなのか」に集中しています。
ぜひみなさんもご覧ください。
少年時代の夢を叶えた演奏にしびれました。
プロやマニアの方からすると意見はあるのかもしれませんが、
本当に全身全霊をかけた指揮による本人の感激がダイレクトに伝わってきました。
仕事で考えなければならない壁が見えたとき、
部屋でこのDVDをかけて「実現のために何を本当にすべきなのか」に集中しています。
ぜひみなさんもご覧ください。
ショスタコーヴィチの証言 (中公文庫)
この本は権力者の横暴に対する怒りに満ちている。それは無責任にそれへの反抗を慫慂したり、反抗しなかったことを非難する人に対する怒りでもある。
権力者の顔色一つでどうにでもなる社会、権力者を利用して自らの地位を守り、あるいは競争相手を追い落とそうとする社会。その徴候が少しでも現れたらシベリア行き、あるいは銃殺につながるという社会。表面上の屈従の裏に、権力者に対する怒りを忍ばせつづけるという綱渡りのような日々。
この本にはショスタコーヴィチ自身の行動への迷いも反省も悩みもでてこない。しかしそれはそれで正当なのだ。殺されたたくさんの人々のことを考えた時になにをいうべきかははっきりしている。自らの弱点ではなく権力者の卑劣さである。
この本は偽書だと主張され、それをめぐって論争があったらしい。最初に「偽書」の字をみたとたん激しい反発が心の中に生じた。当時の状況、そしてこの内容をみれば、残された家族が偽書だと述べてもなんの不思議もない内容だ。話は同じようなことが繰り返され、論理的でもないし、ばらばらで、もし偽書ならもっと偽書らしいものを盛り込めただろう。家族のことを考えれば偽書と主張する余地を残さなければならなかったかもしれない。他方、ヴォルコフ、あるいはまともな音楽家のいいたいことが書かれている可能性もある。
しかし、おそらく多くの真実が語られている。それをショスタコーヴィチ自身が認めたか、口に出したかどうかは別として。
彼自身が、苦悩していればいるほど、この本の出版を願ったかも知れない。ただ彼の解決は、彼が真実を述べるのは音楽がすべてということだったのだ、と思う。
権力者の顔色一つでどうにでもなる社会、権力者を利用して自らの地位を守り、あるいは競争相手を追い落とそうとする社会。その徴候が少しでも現れたらシベリア行き、あるいは銃殺につながるという社会。表面上の屈従の裏に、権力者に対する怒りを忍ばせつづけるという綱渡りのような日々。
この本にはショスタコーヴィチ自身の行動への迷いも反省も悩みもでてこない。しかしそれはそれで正当なのだ。殺されたたくさんの人々のことを考えた時になにをいうべきかははっきりしている。自らの弱点ではなく権力者の卑劣さである。
この本は偽書だと主張され、それをめぐって論争があったらしい。最初に「偽書」の字をみたとたん激しい反発が心の中に生じた。当時の状況、そしてこの内容をみれば、残された家族が偽書だと述べてもなんの不思議もない内容だ。話は同じようなことが繰り返され、論理的でもないし、ばらばらで、もし偽書ならもっと偽書らしいものを盛り込めただろう。家族のことを考えれば偽書と主張する余地を残さなければならなかったかもしれない。他方、ヴォルコフ、あるいはまともな音楽家のいいたいことが書かれている可能性もある。
しかし、おそらく多くの真実が語られている。それをショスタコーヴィチ自身が認めたか、口に出したかどうかは別として。
彼自身が、苦悩していればいるほど、この本の出版を願ったかも知れない。ただ彼の解決は、彼が真実を述べるのは音楽がすべてということだったのだ、と思う。
ショスタコーヴィチ:歌劇《ムツェンスク郡のマクベス夫人》ネーデルラント・オペラ2006 [DVD]
結婚生活に飽いて、時間を持て余す婦人の物語とも言うべき舞台歌劇です。
主人公の婦人を演じるマリア・ウェストブロークは、美貌でもあり、歌唱力、演技力共に備わったメゾソプラノです。ストーリーは、次々と展開し、新しく雇った男の夜這いを受け、その描写は、巧みに処理され、音楽が、雰囲気をかき立てます。これを始点にして、物語は、ひと山もふた山も乗り越えて、終末へ向かっていきます。
ショスタコーヴィッチが、オペラの世界にも、革新的音楽を創り出した傑作と思います。観るものを惹き付ける力を持つ大変な舞台歌劇だと思っています。
主人公の婦人を演じるマリア・ウェストブロークは、美貌でもあり、歌唱力、演技力共に備わったメゾソプラノです。ストーリーは、次々と展開し、新しく雇った男の夜這いを受け、その描写は、巧みに処理され、音楽が、雰囲気をかき立てます。これを始点にして、物語は、ひと山もふた山も乗り越えて、終末へ向かっていきます。
ショスタコーヴィッチが、オペラの世界にも、革新的音楽を創り出した傑作と思います。観るものを惹き付ける力を持つ大変な舞台歌劇だと思っています。
ショスタコーヴィチ (作曲家・人と作品シリーズ)
実に密度の濃い本です。ショスタコーヴィチの家系と生い立ちから、青年期、作曲家としての成功、当局との確執、芸術家としての苦悩、結婚、家庭生活、病気、そして死までを記述した、非常に内容豊かな本です。(医師である私にとっては、ショスタコーヴィチの闘病の様子が詳しく書かれて居る事も、興味深い事で、読みながら、彼を苦しめた「麻痺性の病気」は、一体何であったのか?を考えましたが、これは、良く分かりませんでした。これは、今後の研究課題だと思ひます。)特に、「死後の評価」と題された章(178-182ページ)では、1979年に発表されたソロモン・ヴォルコフ編の「証言」の真贋論争が、非常に分かり易く要約、解説されており、これを読めば、ヴォルコフ編の「証言」が、偽造文書であった事が、良く理解されるに違い有りません。又、「作品篇」(184-240ページ)の内容は非常に充実しており、ここに述べられたショスタコーヴィチの楽曲についての解説と分析は、ファーイの『ショスタコーヴィチ/或る生涯』には無い物です。ショスタコーヴィチに関心の有る方のみならず、ロシア・ソ連の現代史に関心の有る全ての方に、この本を読まれる事をお薦めします。(西岡昌紀・神経内科医)