炎上 [DVD]
一度見た人に忘れることの出来ない印象を残す作品であることにどなたも異存はないはず。しかるにこの作品、文芸春秋社刊の“日本映画ベスト150”にも、その姉妹編“名画ベスト150中・上級篇”にもなぜか選出されず、監修の長部日出男氏が首をひねっていました。
思うに,この作品ほど観客の感情移入を許さない映画もまれだからでしょう。ここには愛すべきキャラクターが一人もいないのです。また、原作と違って主人公がなぜ驟閤を焼いたのかさえ、はっきりとは説明されていません。一応、驟閤の美しさを永遠に自分のものにしたいから、という見方も成り立つのですが、そのような紋切り型の解釈が本当に正解なのでしょうか? 謎だらけです。結局、人間とはどうにも納得しがたいことをする生き物なのだ、というある種サマーセット・モームの小説世界にも通じる不可解さに我々は包まれるだけです。
にもかかわらず、これはやはり傑作だと思います。人間の心の中には他人には決して窺い知ることの出来ない闇の部分があるのであり、それを変にこじつけて無理矢理説明しようとするたいていの映画の方が、むしろ“物欲しげ”に見えてしまいます。 モームの小説ならその主題をユーモアとアイロニーで装飾して読者を楽しませますが、市川監督の場合は、その華麗な映像美と、当代きっての役者たちの芝居で堪能させます。 それにしてもよくもまあ幾多の大俳優たちにあんなうすみっともないキャラを演じさせたものです。そういう意味で、こんな特殊な映画は文字通り二度と作られることはないでしょう。まだご覧になっていない方必見です。
思うに,この作品ほど観客の感情移入を許さない映画もまれだからでしょう。ここには愛すべきキャラクターが一人もいないのです。また、原作と違って主人公がなぜ驟閤を焼いたのかさえ、はっきりとは説明されていません。一応、驟閤の美しさを永遠に自分のものにしたいから、という見方も成り立つのですが、そのような紋切り型の解釈が本当に正解なのでしょうか? 謎だらけです。結局、人間とはどうにも納得しがたいことをする生き物なのだ、というある種サマーセット・モームの小説世界にも通じる不可解さに我々は包まれるだけです。
にもかかわらず、これはやはり傑作だと思います。人間の心の中には他人には決して窺い知ることの出来ない闇の部分があるのであり、それを変にこじつけて無理矢理説明しようとするたいていの映画の方が、むしろ“物欲しげ”に見えてしまいます。 モームの小説ならその主題をユーモアとアイロニーで装飾して読者を楽しませますが、市川監督の場合は、その華麗な映像美と、当代きっての役者たちの芝居で堪能させます。 それにしてもよくもまあ幾多の大俳優たちにあんなうすみっともないキャラを演じさせたものです。そういう意味で、こんな特殊な映画は文字通り二度と作られることはないでしょう。まだご覧になっていない方必見です。
炎上 [DVD]
私は三島由紀夫著の小説「金閣寺」からこの映画に辿り着いたが、映像化が難しそうな作品なのにもかかわらず、見応えがあった。小説と映画を比較しながらこの映画を見ると、より楽しめると思う。
映画の方が小説よりいい意味でシンプルで、分かりやすい内容にまとまっている気がした。(もちろん小説の良さもあるが、私には小説の方は難解で理解しづらい部分があったので。)人によってなぜ主人公が寺に放火するのか解釈が異なるものなのかもしれないが、私はこの映画の解釈は納得できた。
市川雷蔵の吃音の演技が少し大げさでやりすぎな感じがしたが、結構主人公役にはまっていたと思う。仲代達也が小説の中での柏木の役(主人公が大学で出会い、かなり影響を受ける友人)を演じていて、印象の強い濃いキャラクターにはまっていて存在感があり、いい意味で驚かされた。他の出演者も好演していると思う。
個人的には小説に出てくる有為子(主人公が屈折した恋愛感情を抱く女性。おそらく初恋の相手。)のエピソードを入れて欲しかったので、星を一つ減らした。
映画の方が小説よりいい意味でシンプルで、分かりやすい内容にまとまっている気がした。(もちろん小説の良さもあるが、私には小説の方は難解で理解しづらい部分があったので。)人によってなぜ主人公が寺に放火するのか解釈が異なるものなのかもしれないが、私はこの映画の解釈は納得できた。
市川雷蔵の吃音の演技が少し大げさでやりすぎな感じがしたが、結構主人公役にはまっていたと思う。仲代達也が小説の中での柏木の役(主人公が大学で出会い、かなり影響を受ける友人)を演じていて、印象の強い濃いキャラクターにはまっていて存在感があり、いい意味で驚かされた。他の出演者も好演していると思う。
個人的には小説に出てくる有為子(主人公が屈折した恋愛感情を抱く女性。おそらく初恋の相手。)のエピソードを入れて欲しかったので、星を一つ減らした。
るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 炎上!京都輪廻(特典無し)
戦闘だけ楽しもうと会話などを飛ばしまくると、ロード時間が少し苦になるかもしれませんね。
ストーリーは短めで、もっとストーリー的な流れを楽しみたい人には、物足りない感はあると思いますよ。
しかーしこのゲームの戦闘は「侍」とか好きな人には良いと思います。
やってみて下さい是非に。
ストーリーは短めで、もっとストーリー的な流れを楽しみたい人には、物足りない感はあると思いますよ。
しかーしこのゲームの戦闘は「侍」とか好きな人には良いと思います。
やってみて下さい是非に。
ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)
インターネットにまつわる「炎上」等々ネガティブな話題から、インターネットに距離を置いている方にお勧めの一冊。
「インターネットの掲示板では、罵詈雑言が飛び交っているらしい」「インターネットでは、一歩間違うと個人情報が丸裸にされるらしい」「ブログで不用意な発言をしてタレント生命を絶たれたタレントがいるらしい」、様々に印象を残しながら今日もウェブは成長を続けている。
何か得体の知れない怪物がいつの間にか生活空間に侵入してきたかのような印象を抱いている貴方こそが、本書の読者としてふさわしい。
新たなメディアであるウェブと否応無く共生する時代に生きるうえで、咀嚼する必要のある一冊です。
「インターネットの掲示板では、罵詈雑言が飛び交っているらしい」「インターネットでは、一歩間違うと個人情報が丸裸にされるらしい」「ブログで不用意な発言をしてタレント生命を絶たれたタレントがいるらしい」、様々に印象を残しながら今日もウェブは成長を続けている。
何か得体の知れない怪物がいつの間にか生活空間に侵入してきたかのような印象を抱いている貴方こそが、本書の読者としてふさわしい。
新たなメディアであるウェブと否応無く共生する時代に生きるうえで、咀嚼する必要のある一冊です。
炎上 [VHS]
三島氏の原作とは異なる点が、数箇所あります。
主人公の溝口(市川雷蔵)の初恋の女性(最も影響を与えた女性)が出てこないことの他に、窓から見た美しい女性(新珠三千代)が乳をしぼる場面がない、米兵の子を身ごもった女の腹部を溝口が踏む描写がない、春を売る女・まり子(中村玉緒)と性関係を持たない、罪を犯した後の描写が映画にはある、一番肝心な溝口の「完全なる美への憧れ/嫉妬/完璧な美が崩壊する姿を見たいという衝動」の描写が希薄であること等が異なっていました。
原作とは異なる部分が多くありますが、映画としては溝口(市川雷蔵)の孤独な青年の心理描写が、わかりやすく表現されていると思いました。
小説でニュアンス的に描写されている、溝口のある性的指向を表現することが、この時代ではタブーだったと思われ、その部分は、あえて避けられたような・・・
大罪に至るまでの心理、女性嫌悪、母親に対する憎悪、吃音に対するコンプレックス、老師(中村鴈治郎)が、自分を後継者として認めてくれない=見放されてしまう、という焦燥感は、理解しやすかったです。
市川雷蔵さんの素晴らしい演技によって、説得力がある作品に仕上がっていて、老師役の中村鴈治郎さんをはじめ、共演俳優達の演技も上質でした。
モノクロ映画ですが、炎上シーンが美しいのです。
差別表現が多い点は、時代性のもので仕方がないかもしれません。
公開時には、原作者の三島氏も絶賛した作品とのこと。
複雑な性格の孤独な青年・溝口が、追い詰められて狂気へ向かうテーマは、今でも充分通じる部分があり、邦画の名作だと思います。
主人公の溝口(市川雷蔵)の初恋の女性(最も影響を与えた女性)が出てこないことの他に、窓から見た美しい女性(新珠三千代)が乳をしぼる場面がない、米兵の子を身ごもった女の腹部を溝口が踏む描写がない、春を売る女・まり子(中村玉緒)と性関係を持たない、罪を犯した後の描写が映画にはある、一番肝心な溝口の「完全なる美への憧れ/嫉妬/完璧な美が崩壊する姿を見たいという衝動」の描写が希薄であること等が異なっていました。
原作とは異なる部分が多くありますが、映画としては溝口(市川雷蔵)の孤独な青年の心理描写が、わかりやすく表現されていると思いました。
小説でニュアンス的に描写されている、溝口のある性的指向を表現することが、この時代ではタブーだったと思われ、その部分は、あえて避けられたような・・・
大罪に至るまでの心理、女性嫌悪、母親に対する憎悪、吃音に対するコンプレックス、老師(中村鴈治郎)が、自分を後継者として認めてくれない=見放されてしまう、という焦燥感は、理解しやすかったです。
市川雷蔵さんの素晴らしい演技によって、説得力がある作品に仕上がっていて、老師役の中村鴈治郎さんをはじめ、共演俳優達の演技も上質でした。
モノクロ映画ですが、炎上シーンが美しいのです。
差別表現が多い点は、時代性のもので仕方がないかもしれません。
公開時には、原作者の三島氏も絶賛した作品とのこと。
複雑な性格の孤独な青年・溝口が、追い詰められて狂気へ向かうテーマは、今でも充分通じる部分があり、邦画の名作だと思います。