オリジナル・サウンドトラックによる 武満徹 映画音楽
そうですか、武満さん逝去から10年ですか。早いもんですね。それを機にして、しばらく入手困難だった映画音楽選集がBOX化。ボーナスCD(貴重なインタビューCD)もついてこの価格です。まず感涙しましょう。毎年、春になると何気に武満が聴きたくなるのは、彼の命日に感傷的になっているわけではなく、芽吹き、花咲く植物たちのような静謐なれど怪しいほどに力強い生命を感じたいからでしょう。彼の映画音楽はもちろん映画ありき、の作品群ではありますが、有体に言えば映画を知らずとも陽気の中で聴く者が思い思いに想いを馳せる楽しみを与えてくれるものです。あなたがもしジョン・ウィリアムズを10回聴くのだとしたら、その1回分の時間を、ぜひこの日本の産み出した典雅なる才能との出会いにしてほしいのです。春、武満。今も耳をそばだてたくなる美しい響きが陽気と妖気をかもしだします。そうですか、もう10年ですか。。。
松本清張 けものみち DVD-BOX
CMで初めて見て「絶対最後まで見よう!」と思ってから毎週、欠かさず視聴していました。
確かに面白かった。特にというか、やはり平さん演じる麻布の老人はまさに化け物のような雰囲気でありながら、どこか淋しい、虚しさを感じる孤独な老人の一面もあるという、微妙な役を見事に“我がもの”にしています!私はこの人を見るために、このドラマを見続けました。そして若村さんのアニメに出てきそうなくらい誇張された、でも妖艶な美しさはピカイチのキャラは必見です。民子のまわりを暗躍する人間も味のあるヒールっぷりでいい。
…しかしあの最終回で全てが台無しです。
原作では民子は焼け死ぬ、まさに因果な終わり方にもかかわらず米倉が「そんな終わり方はしたくない」と言ったがためにあんな在り来たりなショ〜モナイ結果になったのです。強かに生きる女の姿で終わりたかったのでしょうが、この人のワガママで全てブチ壊しでした。
原作が伝えたかったものはいいようにねじ曲げられ、消滅しました。
けものみち [VHS]
昔、NHKで放映された同じ原作の名取裕子&山崎努バージョンを見て面白かった記憶があり、本作も少し期待して観てみた。
んー、やはり主演十朱を影で操る草刈正雄が若過ぎるな。画面的には十朱の「若いツバメ(?)」に見えてしょうがない。政界黒幕の老人の大滝秀次、その番頭役の名古屋章、女中頭の江波杏子、ストーカー的な刑事の河原崎長一郎らがいずれもハマリ役(名演!)だけに惜しい。
次は米倉涼子バージョンを是非見てみたくなった。
帰れない者たちへ
好きなミュージシャンのカテゴリーは、年齢を経ても変わらないようだ。昔、ニューミュージックを好んでた人がJ−POPにはまるのは、結構難しいと思う。カラオケで歌う曲も概ねそうであろう。
ご承知のように、この曲はテレビ「けものみち」のエンディングに流れており、ストーリーの何ともいえない荒涼なイメージとあいまって、印象に強く残る。しかし同時に、倖田來未に乗れない、悲しい40代・50代の心に強く響いてくる。久しぶりにシングルCDを買おうと思った。
けものみち-全集- [DVD]
NHKの名物ディレクター故・和田勉&名優・山崎努による、一連の作品の第3弾。
小滝(山崎努)によって、運命を変えられる女・民子を名取裕子が体当たりで熱演。
当時「金八先生」のヒロインなど、お嬢様女優だったイメージを払拭して印象的だった。
また伊東四朗の久恒刑事も、コミカルな部分一切なしで、悪徳と正義感の両面を持つ複雑な人間像を演じて出色。
政界の陰の黒幕・鬼頭を演じた西村晃もさすがの貫録。
敵か味方か正体不明な小滝を演じた山崎は、言うまでもなく素晴らしい。
原作と異なるラストも含め、米倉涼子版を観た方々には是非観て頂きたい傑作である。