北辰斜にさすところ [DVD]
「ハチ公物語」の神山征二郎監督作品。
この人はいつもなんと馨しい映画を撮るのだろう。
野球のことはわからなくとも、心に沁みる映画である。
北辰とは北極星のことで、七高のある薩摩・鹿児島からは
北極星が斜めに見えることから来ているらしい。
(日本ならどこから見ても斜めという突っ込みはなしね…。
薩摩からは「より」斜めに見えるのだから。)
とにかくこの映画は、弊衣破帽、高下駄など
バンカラな旧制高校好きにはたまらない映画になっている。
映画でも触れられるが、「七高生を見たら鬼と思え」とは
なるほどそうであるかもしれない(笑)
よく遊び、よく学ぶ。それは常人から見れば時に野蛮に見える。
バイタリティに溢れていたのでしょう。
たいていこの種の映画は原作の方が面白かったりするのだが、
この映画に関しては、七高の寮歌である「北辰斜めにさすところ」
が聴けるという点で、映画の方が勝っていると言える。
旧制五高(現・熊本大学)と七高(現・鹿児島大学)のOBにも
たまらない映画なのではないだろうか。
このような故郷を持つ人を私は羨ましく思う。
こういう映画を良いと思うようになった私も、歳なのでしょうか。
話も実に良く出来ている。日野原重明先生もこの映画を観て、
古き佳き帝大生時代を思い出したようだ…。
古き佳き昭和の香りがする。好きな映画である。
一つ難をいえば、坂上二郎の芸が下手ということだろう(笑)