時計じかけのオレンジ【字幕版】 [VHS]
原作者が提起した問題はモラルの有効性についてなのだが、映画化されたものは一種のピカレスクロマンになっているのが悔やまれる。問題提起はなされているのだが、映像が余りにもショッキングなので観衆はそれ以上を要求しないのだ。
スタンリー・キューブリック DVDコレクターズBOX
キューブリックの名作がデジタルリマスターを施してボックスで登場。「2001年」は従来盤より鮮やかな画像になった。特典映像のアーサー・C・クラークのスピーチは無くなったが、問題にする程では無い。「時計仕掛けのオレンジ」「フルメタル・ジャケット」などは音声が5.1サラウンドになり、大満足。問題は「シャイニング」が短いコンチネンタル版になった事。それ以外は、満足できる良いセットです。
時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)
サリンジャーのらい麦畑並みに好きな作品。
立派な青春を描いていると思う。
最終章は、アレックスが悪の心を取り戻すのだが、ネットで素人の訳が公開されているので、探してみては。
時計じかけのオレンジ [DVD]
いわずと知れた超傑作だから未見の方はすぐに見るべきだ。
強烈な映像造形に圧倒され、時間一杯画面に釘付けになるのは間違いない。40年近く前の映画とは思えない過激な映画でもある。
(過激だとはいっても映像そのものについてはホラー映画のような残虐さがあるわけではないが…)
が、見終わってどんなふうに思うかは個人差がありそうだ。まず、子供には勧められない。
(倫理観が定まっていない精神的な子供も含む。理由は下記)
非常に怖ろしい映画ともいえるし、人によってはかなりの嫌悪感を抱くだろう。
キューブリック特有の強烈な氷のように尖った描写は、この映画が一番激しい。
この映画を撮影する時キューブリックは同時代に隆盛だったニューシネマを意識したという。
だが、この映画は 《暴力を寓話の形で批判》 しているにもかかわらず、見る人間によっては表面だけを見て映画を取り違え、その結果暴力を誘うような面があった。
(誘発されえた暴力事件があったという。見る人間が精神的に中途半端であったり、理解が表面だけでとどまる場合、取り違えることもあるのだろう)
このことは、『自身の家族までもがあの夜間襲撃のようなことの対象となるのでは…』とキューブリック自身を悩ませたという。
結果、イギリスではキューブリックの意向で公開後数年で見ることが出来なくなり、その後キューブリックが死去するまで上映もソフト化も許可されなかったそうだ。
(だからイギリスのファンは海賊版でしか見ることが出来なかった…。日本でもビデオ化は遅かったですね。)
私自身、初見 (18年ぐらい前ビデオで観た) のときアレックスの悪党ぶりの爽快さに目がいった。
『非道な行為を一つも後悔せずにつぎつぎに…。 気持ちよさそう…。』
で、そのあと
『自分のこの感想はマズイんじゃないか…』と思ったものだった。
この強烈さはキューブリックの映像作家としての凄まじさをあらわしているとは思うが、おそらくキューブリック自身としてはやりすぎてしまったのだろう。
だが、
だからといってこの超傑作の価値が変わるものではないし、未見の方はすぐに見るべきだ。
(追伸:今度のはジャケットの印刷の色が濃いな…)