本日は晴天なり
簡単に複製ができるこの時代に、DVDなどのおまけもないのに、このCDを予約購入する自分はバカではないか、とためらいながら購入しましたが、でも、手にして聴いた今は、判断はまちがっていなかった、と思います。
70年代のフォーク=ロックを思わせるような、下北沢の時間・空間を思わせるような、飾らずに透明感のあるサニーデイ・サービスの音楽は変わっていませんね。
それほど大きなムーヴメントが起こらなかった2000年代のほとんどで活動を休止していたことはかえってよかったのかもしれません。最近の曽我部さんのライヴ感、ありのままを大事にする方向とはちがって、とても細部にまで気を配って、と言っても、初期の作品ほど神経質に静かに、緻密にではなく、温かい音響を残す作品を作り上げたと思います。ドラムの丸山晴茂がほとんどレコーディング現場に姿を現さなかった活動休止前のラスト・オリジナル・アルバムLOVE ALBUMがどうしても不和を感じさせるのとちがって、現在のメンバー同士の仲の良さ、度量の成長も反映されているのでしょう。
彼らの帰りを待っていた人であっても、そうではなくポップ・ミュージックが好きなだけの人であっても、心も耳もつかまれてしまう、時代を超越したフォーク=ロックの世界です。
単独ツアーは9月からだそうですよ。
サニーデイ・サービス
ほかのレビューにもあるように、「愛と笑いの夜」と同年に発表された、彼らの全盛期を飾るアルバム。続く「24時」が今ひとつだった(これとくらべて、ね)のもあり、このアルバムがバンドの最高傑作と評されることが多い。(個人的には”LOVE ALBUM”と並んで1位)
個々の曲をについていうと、生々しいボーカルと暗い曲調が、暗然たる印象と強烈なインパクトを残しつつも、感動的であるT01・T12・T06、文句なしの名曲であるT11、切ないメロディが正に”サニーデイ節”なT05・T09など、いずれも素晴らしい出来栄えだ。美しい旋律と、曽我部の声の力はどのトラックにおいても発揮されている。
しかし、このアルバムが彼らの最高傑作とされる所以は、アルバム全体の纏まりだろう。
楽曲一つ一つをみると、確かに名曲ぞろいだが、どちらかというと地味なものが多い。それらがアルバムとして構成されることで全体として暗く悲しいイメージを喚起し、そのイメージがアルバムの主調音をなすことで、各楽曲の力が止揚され、より力強く・感動的なものになっている。
一言で言えば、非常に完成度の高いアルバムである。
十数曲でひとまとまり、という枠組みの存在意義が疑問視されがちな昨今、「アルバム」という音楽の発表形態の魅力を再認識させられる作品だ。サニーデイ聴いたことの無い人も、これを買っておけば間違いないでしょう。
東京
サニーデイのアルバムはなぜだろう、とても季節を感じさせてくれるものがある。そして、このアルバムはとてつもなく恋力を沸かせるものがある。
恋をしていなくてもしたくなる。していてももっと恋に落ちたくなる。
胸を締め付けるような青さがあるけどでも青すぎず、熟しすぎず。
大人になっても変わらない10代のような気持ち。日常。