邂逅の森 (文春文庫)
難しいかな?と思ったけど、Hなシーンが織り交ぜてあって一気に読めました。
邂逅は、めぐり会いの意味。熊とのめぐり会い、初恋の人とのめぐり会い、最良の伴侶とのめぐり会い。
読後は爽快です。
箕作り弥平商伝記 (講談社文庫)
舞台は大正末の騒乱期。
箕作りの職人・弥平は販路拡大のため秋田から関東平野を目指す。
集落ひとつ丸ごと箕作りをして暮らしを立てている村で生まれ育った弥平だが、
実は関東では箕を作るのは身分の低い者の仕事とされていて
差別の対象となっていることを知り愕然とする。
はじめての土地で理不尽な差別を受けながらも闘い、恋をし、
職人として、行商人として、そして一人の男として成長する若者の姿を描く作品です。
主人公の弥平は生まれつき足に不自由があります。
でも弥平は腕のいい箕職人です。
足のハンディは箕作りにはまったく影響しないし、
彼はこの仕事にも自分の技術にも高い誇りを持っています。
しかしその揺るがない誇りである「箕作り」が、
ある地区では差別されるべき職業だった・・・。
足の不自由に重ね、もう一つの差別が弥平を襲います。
恋をした少女が箕職人の娘で、
差別によって受けた心の傷を抱えているというのは単なるオマケにすぎない。
これはまさに弥平の≪誇り≫を守るための闘い。
自分自身を肯定するための闘いだからこそ、
差別に立ち向かう弥平の姿はまぶしい。
さわやかで読後感が良く、弥平の前向きな生命力にあふれた作品でした。
熊谷達也さんは「七夕しぐれ」でも差別問題を取り上げていたはず。
彼はどうしてこの問題にこだわるのか・・・
そこに理由があるのなら知りたいです。
マタギ 矛盾なき労働と食文化
マタギ 矛盾なき労働と食文化
作者が10年以上にわたりマタギを取材、弟子入りを許されるほどに。
一切のテレビ取材等を受けないマタギ文化を写真と文章で紹介。
一部マスコミ等の間違った取材で出版された一連のマタギ本の嘘が分かります。
自然と共に生き、その技と知識を後世に伝えていく、これこそ本当のマタギ文化です。
究極のアウトドアズマンの姿がそこにあります。
動物の狩猟、解体、魚漁、山菜採取、山で生き抜く全ての技が見られる貴重な本です。
過疎等で衰退していくマタギ文化、今後これ以上の取材は出来ないでしょう。
買って損無しでした。