夢みる機械
川上未映子としての芥川賞受賞及び候補作に感じ入るものがあったので、自ら作詞を手がけていた本CDを購入しました。全ての作品の完成度が高いと言えなくとも、心・魂に響くメッセージとその歌声に魅かれました。
声の色や質感や響き、歌詞が合うかなんて個人の趣味の問題で、単純に好きか嫌いかですが、歌声を聞いたときに、初めて千住真理子さんのコンサートでヴァイオリンの音色を聞いた時のような、これまでにない音に出会った感動を覚えました。
「愛をもっと」、「初恋」、「千と一夜の軌跡」「悲しみを撃つ手」は聞き応えがあると思います。但し、「悲しみを撃つ手」はアルバム「頭の中の世界と結婚」の方が完成度が高いです。
ぜんぶの後に残るもの
私は、この方の文章と感性の独特な先鋭さがとても好き。
日経新聞の夕刊に掲載されていたエッセイもリアルタイムで読んだとき、
なかなか、他の人がはっきり言えない感覚、でも市井の感覚、でも独自なもの
を打ち出しておられて、関心していました。
この本は、週刊新潮の連載がかなりの部分を占めるけど、
一部、震災直後の時期の日経夕刊のエッセイも交えています。
今の時代をより深く考えるために、
どのような力をもってしても「奪われないもの」とは何かを
震災後の今考えるために
この本を読んでみてください。
追伸:深刻な話ばかりではなく、つい笑っちゃう話ももちろん多いです。
(作者のファンにはいわずもがなでしょうが)。
パンドラの匣 [DVD]
キャスティングが本当によかった。
特に「竹さん」を演じた方が素晴らしかった。素敵な女優というのは、何でもないような仕草でさえ魅力的に感じる。
他の役者もみんないい仕事をしている。瓶を貰うエピソードが大好きだ。
小説が好きで、映画はあんまり期待していなかったが、いい意味で裏切られた。心に残る青春映画である。
現代思想2011年9月臨時増刊号 総特集=緊急復刊 imago 東日本大震災と〈こころ〉のゆくえ
中井氏に限定した案内。
責任編集者の斉藤環氏による中井氏への質問が9ページ。
インタビューではないのは、質問を連ねた紙を前に中井氏が
答えるという形式だから。
本人がいたならここをもっと突っ込んで聞いたろうにという
物足りなさがある。仕方がないんだろうが。
質問6が中井氏が統合失調症からPTSDに仕事の重心を移された際に
たとえば臨床感覚の変容のようなものがあったのかどうか
というもの。
中井氏はさらっと否と答える。そうなのか……
質問の山場はココ。さらっとしてるけどココ。
中井氏の追記が4行添えられてて、いかにもな内容でホロっときた。
「こころのケア」とはなにか、という中井氏本人の文が11ページ。
文が固いなあと思ったら当然だった。
初出が「兵庫県ヒューマンケア研究機構年報」7号2001
中井久夫の名文にナデナデされたいと思ってる人には物足りないでしょう。
私は引退されてから多くなった昔語りが興味深いので買ってよかった。
中井久夫と香山リカと神田橋條治が同じ目次に並んでるって凄い。