ユバナ
名盤だと思います。
23歳の新人とは、とても思えないスケールの大きさ、独特の世界観・・・J-POPなどという、ちゃちなジャンルには収まりきるものではありません。
先日、彼女たちのライヴを観たのですが、ヴォーカル、ピアノ、ヴァイオリン、アコギという4人編成とは思えない厚みのある、深い音で、まさに「黄金のカルテット」でした。そして、なによりも彼女たちの奏でる音には「こころ」があります。だからこそ、聴き手の心の奥底を揺さぶるのです。
「金太郎飴」という表現をされている方がいらっしゃいましたが、いい意味で言わせていただければ、どこを切っても「ナナムワールド」ってことです。(それにしても、全てが同じ調子に聴こえるというのは、耳がおかしいのでは?一度病院に行く事をお勧めします。)有名ミュージシャンのプロデュースで出てきたはいいけど、そのプロデュースしているアーティストの色しか見えない人達より遥かにマシです。
軽くて薄っぺらで中身の無いJ-POPが氾濫する中、とても貴重な存在のアーティストの誕生を心から歓迎します。
あと、このアルバムを気に入った人は、是非、ライヴに行きましょう。ライヴで聴くともっともっといいですよ。
クイック・ジャパン86
担当編集者が大西さんから別の人になって以来、銀魂のセリフのキレやシリアスとギャグの振り幅がイマイチで大して興奮するほどには楽しめていませんでした(ちなみに大西さんが担当になったワンピースはおもしろくなった。大西さんは優秀な編集者なんだろうなと思う)。
そんな中よんだ座談会はかなりおもしろかった。空知さんは頭いい人だなあと思いました。
クイック・ジャパン87
何処まで伸びてゆくのだろうか?
とてもたのしみな女の子達だ。しかし、これをプロデューサーの名誉になって
いるのかとおもうと、不安も無いわけではない。
出ては消えるシンガーが多い中実力を持っているとは全
面肯定するのは危険だ。
だが、この不況にめげない企画をもっているからここまで売れているのだろう。
彼女達の360度対応する音楽力はすばらしいと思う。
これから見守りたいグループであるのは確かだ。
皆様もこれからのseason「クイック。ジャパン87」でのりのりで行ってみましょうか。これを見れば総てがわかるかもしれません。
推薦いたします。
ゼロ年代SF傑作選 (ハヤカワ文庫 JA エ 2-1) (ハヤカワ文庫JA)
2000年から2009年までのゼロ年代に発表されたSFの短編を収録したアンソロジー。早川書房のSFマガジン掲載作品を中心に構成されているが、粒ぞろいでどれも面白かった。
収録作は、
「マルドゥック・スクランブル"104"」冲方丁
「アンジー・クレーマーにさよならを」新城カズマ
「エキストラ・ラウンド」桜坂洋
「デイドリーム、鳥のように」元長柾木
「Atmosphere」西島大介
「アリスの心臓」海猫沢めろん
「地には豊穣」長谷敏司
「おれはミサイル」秋山瑞人
の8作。
冲方丁のマルドゥック・スクランブル外伝は、言うまでもなく、このアンソロジーの目玉で、ファンとしては必読。
しかし、それ以外でも、新城カズマや桜坂洋、秋山瑞人の作品は、かなり自分好み。
最も好きだったのは、長谷敏司の「地には豊穣」だ。この作品は、長谷敏司の『あなたのための物語』と共通した世界での出来事を描き、一緒に読むとなお、理解が深まる。
作品だけでなく、巻末の藤田直哉氏の解説もゼロ年代のSFの状況を知るためには必読。この解説を読むと、ゼロ年代が日本SF界にとって重要なディケイドだったことがよく分かる。
ハリネズミ
3曲入りのマキシ・シングルとは到底思えないほど、想像力に満ち溢れた世界が拡がっている。
特筆すべきはその声。曲によって歌い方を変えているわけでもないのに、結果として異なる響きを持つ。
演奏を支配下に置いてしまう力強い声とも、音の水面を跳ね回るような軽快な声とも違う、
音の透き間から浮かび上がってくるこの声の魅力に気づいたとき、あなたはもうこの歌い手の虜なのだ。
『フラクタル』の世界を言葉で、そしてそれ以上にアレンジで本能的に伝える「ハリネズミ」、
遠い記憶を流れる音楽のような音色で彩られた「Down By The Salley Gardens」、どちらも素晴らしい。
だけどそれらが霞んでしまうほど、「おなじゆめ」は突出した完成度を誇る。文句の付けようが無い。
名曲の誕生には"曲自身が曲を作り上げていく"という不可思議な現象を伴うことがままあるが、
この曲の弛緩と緊張が平衡を保ちながら自然と登り詰めてゆく感覚は、その現象の発生を確信させる。
"止揚"という言葉が頭をよぎるこの曲が、2曲目に入っていることの意義はなかなか大きいと思う。
初回限定版の特殊ジャケットは一見の価値アリ。視覚でこのシングルの世界を端的に表現している。
収録曲が同じとは言え、できれば初回限定版のほうを手に取ってもらいたい。