為替がわかれば世界がわかる (文春文庫)
実際にMR.YENと呼ばれて為替政策を統括してきた著者の外為論であるから面白くない筈がない。為替を主題に、経済を、そして、世界を語っており、並みの経済学者と違って、世界経済のプレイヤーとしてのの豊かな経験から、現実の生きた経済を説いている。
著者は、冒頭から、ケインズの「美人投票」論を引用し、為替市場は、他人の判断に影響されやすく、不確実で予測不可能だと説き起こし、ジョージ・ソロスが、なぜ、成功を呼び寄せたのかは、誰よりもこのことを知っていた彼のFalliability(誤謬性)と Refrexivity(相互依存性)の概念に依るものだと説く。
為替の予測など当たるはずがないが、為替取引きは、正に、情報ゲームであって、情報戦争で勝利することが肝要と、市場にサプライズを与えて一挙に為替相場を操作する為替介入の手口などを披瀝する。随所で財務官当時の経験を披露しているので、リンゼー著の「経済を操る人形遣いたち」の榊原の項のバック情報が明かされていて謎解きのようで面白い。
著者のもう一つの重要な論点は、市場万能主義(Market Fundamentalism)の新古典派的枠組みの経済背策、所謂、ワシントン・コンセンサスに対する見解で、「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」の著者ジョセフ・スティグリッツを弁護した痛烈なIMF批判である。この理論武装で、ルービンやサマーズと対峙していた榊原の経済交渉がどうであったのか興味のあるところである。
著者の最も強調するところは、正確な情報の把握が如何に重要かということで、現場主義、即ち、現実の豊かさ、現場の重要さを充分認識しないで、乾いた学問や理論だけで現実を切った経済政策を打つと、如何に致命的な破局を迎えるかを説き、あとがきで、日本経済の行く先を憂えている。
外国為替トレード 勝利の方程式
外為取引のことは既にわかり、テクニックや知識はネットや他の本で勉強しているけれども、
どうもうまくいかないなあ、という人向けの本。視点が変わって面白いと思います。
ヘッジファンドや、機関投資家の立場、どういった指標がどのように影響を及ぼしているかなど、
読んでいると外為取引全体のことが見えてきて、
いかに自分の手元の取引しか見ていなかったか思い知らされます。
ただ、テクニックやら実際の指標の読み方は特別に書いていないので、他で勉強しなくてはなりません。
この本は知識をつけるための本というより、勉強や取引への意欲を書き立てられる本です。