21世紀の新しい数学 ~絶対数学、リーマン予想、そしてこれからの数学~ (知の扉)
本書は,数論とくにリーマン予想の研究者である黒川信重氏と,数学エッセイストの小島寛之氏の対談で,黒川氏が考えているリーマン予想攻略のストラテジーを中心に,21世紀の数論研究の第一線でどんなことが考えられているのかを紹介したものである.本書の4年前に,同じコンビによる対談「リーマン予想は解決するのか?絶対数学の戦略」がでている.その時は難しい数学を避けたため,話が象徴的で結局何を言っているのかよくわからなかった.今回は,黒川氏のF_1スキームによるアプローチに関して正面から取り組んでいる.対談の中で出てくる数学用語の説明をコラムのような形で随所に説明し,さらに付録に,イデアルを用い位相空間の構成について数学的な解説が小島氏によって与えられている.この部分は,位相空間論や抽象代数学になじみのある読者でないとちょっとついていけないと思う.
乗法的モノイドF_1も有限体F_2も,ともに集合としては{0, 1}であるのは,ややこしい記号法を使ったものだ.
本書の記述で改善すべきと思われるところ:
1) p.66のζ(s)の零点の図: 横軸のスケールがおかしい.s=1/2が零点かのように描かれているが,これはウソ.「まだ予想」と書かれているが,予想はRe(s)≠1/2における非存在のほうであって,Re(s)=1/2の上に零点があることのほうはわかっていることだ.
2) p.104,3〜4行目: 「極大イデアルというのは,自分を包含するような環全体とは異なるイデアルがないようなもの」は,正しい定義を知っている人にしか解読できない文章だ.
3) p.105の図:2番目の図では,全体との中間のイデアルがあれば極大イデアルではないと説明し,4番目の図では極大イデアルとイデアル全体の中間に素イデアルを描いている.後者では「極大イデアルの全体」「素イデアルの全体」と書くべきだろう.
乗法的モノイドF_1も有限体F_2も,ともに集合としては{0, 1}であるのは,ややこしい記号法を使ったものだ.
本書の記述で改善すべきと思われるところ:
1) p.66のζ(s)の零点の図: 横軸のスケールがおかしい.s=1/2が零点かのように描かれているが,これはウソ.「まだ予想」と書かれているが,予想はRe(s)≠1/2における非存在のほうであって,Re(s)=1/2の上に零点があることのほうはわかっていることだ.
2) p.104,3〜4行目: 「極大イデアルというのは,自分を包含するような環全体とは異なるイデアルがないようなもの」は,正しい定義を知っている人にしか解読できない文章だ.
3) p.105の図:2番目の図では,全体との中間のイデアルがあれば極大イデアルではないと説明し,4番目の図では極大イデアルとイデアル全体の中間に素イデアルを描いている.後者では「極大イデアルの全体」「素イデアルの全体」と書くべきだろう.
大学入試問題で語る数論の世界―素数、完全数からゼータ関数まで (ブルーバックス)
整数論の大学入試問題というと,イメージとして
不定方程式や,倍数などの論証という物を想像していましたが
それよりも遙かに広くて豊かな物を持っていることが分かってとてもよかった.
高い立場からみると,開けた物が見えることがよく分かりました.
整数論では,未解決の問題が多いことで有名ですが,
入試問題を少しいじるだけで,もう未解決の問題になることも
大変おもしろいと思いました.
不定方程式や,倍数などの論証という物を想像していましたが
それよりも遙かに広くて豊かな物を持っていることが分かってとてもよかった.
高い立場からみると,開けた物が見えることがよく分かりました.
整数論では,未解決の問題が多いことで有名ですが,
入試問題を少しいじるだけで,もう未解決の問題になることも
大変おもしろいと思いました.