「キャッ党忍伝てやんでえ」と「絶対無敵ライジンオー」と「ゲンジ通信あげだま」という当時人気だったアニメの漫画が収録されています。

ミップルこと折笠愛さんと水谷優子さんの対談、田中公平さんと吉田古奈美さんの対談や山口勝平さんや松本梨香さんの寄稿があったりとても豪華。

どの漫画ももっと読みたいと思うんだけど、特にあげだまの漫画はページ数が少なくもっとたくさん読みたかったですね。

前作「さくら」から実に７年ぶり。通算１４作目のオリジナルアルバム。改めてサザンの幅広い音楽性を感じる全３０曲の超大作です。
2003年以降に「シングル曲」として世に出て行った、元々はアルバム用に作った楽曲達。それらを集めて「ニューアルバムです」というのも醜いので、もっともっと曲を作って、既発の曲がたくさん入っていても後ろ指を指されない体裁と質感のあるものにしようと思った…と、桑田さんは語ってます。
そのボリュームもさることながら、すごいですよ。このクオリティは。音楽好きな人ならば、思わず笑ってしまうような随所にちりばめられた音遊びや、歌謡曲、ロック、ジャズ、ヒップホップまで、バラエティに富んだ曲調でありながら、アルバム全体としての統一感。発売済みのシングル曲とカップリング曲も、見事にアルバムに溶け込んでいます。
（一部のシングル曲は、アルバム全体としての音合わせの為、リミックス＆リマスタリングしてます!!）
桑田さん自身がおっしゃっているように、「壮年期のサザン」を感じさせる、ちょっと「落ち着いた感じ」も受け、歌い方に関しても同様に、昔のような「若さとパワー押し」な感じは薄くなりましたが、時間をかけて完成させただけある「今のサザン」が詰まっているアルバムだと感じました。

先日「笑福亭鶴瓶　日曜日のそれ」というラジオ番組に、吉本新喜劇座長の小藪千豊がゲストとして出ていたのですが、彼がこんなことを言っていました。

「よく『お笑いをやるには非常識な人間でなければならない』と思われがちだが、それは違う。
『非常識』を作るためには、まずは『常識』を分かっていなければならない。
スタンダードなものを理解した上で、そこからあえてずらすことにより『笑い』が生まれるのであって、最初からずれた振舞いをしていても面白くもなんともない」

（正確に記憶しているわけではないので、若干言い回しが違う部分があるかもしれませんが、たしかこのような大意であったと思います）

本書を読んだとき、上記の小藪氏の言葉が頭に浮かびました。
菊池氏の笑いの取り方はまさに、「『常識』を分かった上でそこからずらす」というメソッドに基づいているのではないでしょうか。

例えば「即戦力」のサイトのトップ画面の彼のポーズ（本書の表紙でも同じポーズを決めています）は、ベストセラーになったスティーブ・ジョブズの伝記の表紙のパロディーです。
ビジネス界において大きな成功を収めたジョブズのポーズを、まともに社会で働いたことすらもないダメ人間が模倣する。
「ジョブズがビジネスマンとして世界中の人々から尊敬されている」というフォーマットを理解した上で、そこからのギャップを見せることにより笑いを生み出しているわけです。

また、「即戦力」という言葉の使い方にしてみても、本来の意味を理解した上での、計算し尽くされたパロディーと言えるでしょう。
本書の中でも自ら書いていますが、企業が求める「即戦力」像とまるで正反対の彼が、「この男、即戦力」というキャッチコピーと共に「逆就活」を試みる。
「どこが即戦力なんだよっ！」というツッコミをあらかじめ予想した上で、自らの「非・即戦力」ぶりをさらけ出すという高等技術です。
しかも「いやいや、ほんとはデキる人なんでしょ~」というフォローをする余地もなく、本当に即戦力になりそうもないところが立派です。

世間の「常識」を理解し、自分の立ち位置がそこからずれていることを十分認識した上で、そのギャップを利用して世間の耳目を集めた菊池氏。
彼のような人物こそが本当の意味での「即戦力」…………

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なのかは、よく分かりません。
そのへんのことは、本書を読んだ上でみなさんご自身がご判断ください。