Rock and Roll Doctor: Lowell George : Guitarist, Songwriter, and Founder of Little Feat
これは、独創的なスライドギターをトレードマークとし、ユニークな楽曲を作りつづけ、リトル・フィートを創設した男、ローウェル・ジョージの伝記です。
内容は、ハリウッドで生まれ育った幼少期から、1979年、突然の心臓発作で他界した後、バンドのメンバーらによって「Down On The Farm」や「Hoy-Hoy!」がまとめられた頃までとなっています。
一読して最も印象づけられるのは、ローウェルは楽観主義者だったのだなぁ、ということです。後年、ローウェルは、ドラッグに、女に、そして過食へと急速に傾斜して行きました。その原因はどうも、弱さだけでなく、(ま、なんとかなるだろう)とでも言えそうな、根拠のない楽観主義的思考回路にあったのではないか。物語を読み進むにつれて、そのように思えるようになりました。
1960年代後半~70年代前半は、アメリカの若者たちにとって、決して平穏な時代ではありませんでした。世を悲観しがちな人々にとって、同様の不安を抱えた西海岸のミュージシャンにとって、そのようなパーソナリティをそなえたローウェルは、とても魅力的に見えたのだろうと想像できます。
しかし、ベトナム戦争も終わった70年代後半になると、新参者の楽観主義者が巷にあふれ始めます。これと並行するように、ローウェルのカリスマ性みたいなものも薄れ、次第に孤独に陥っていったのかもしれません。
物語中、家族やバンドのメンバーらだけでなく、そうした仲間たちの言葉を数多く引用されていますので、彼らの言葉から、ローウェルの内側の変化をのぞいてみるのも面白い読み方かもしれません。
また、著者は、アメリカ人以外の、また、若い読者にも若干ですが気を配ってくれていて、当時の世情や文化の変遷みたいなことにも言及してくれています。ですから、物語の背景を予備知識として持っていなくても、違和感や疎外感を感じないで読みすすめられると思います。
巻末には、ローウェルが関わった他アーティストの作品についての紹介が載っています。ファンにとっては、資料としても興味深いのではないでしょうか。
スキン・イット・パック~ライヴ1977 [DVD]
以前に出ていた版を持っている身としては、買い替えようか迷うところだと思う。私もそう。結論は「両方とも持っていたほうがよい」
本編映像は、解像度が本作の方が格段に向上しているし、後述するが30分にも及ぶリハ映像が収められている点はこちらが上だが、旧版にあった「cold,cold,cold」がカットされているし、副音声のポール&ビルによる音声解説がない点が痛い。よって旧版も捨てがたいのだ。
では、旧版だけで満足かというと、新版のリハ映像が優れモノなのだ。ライティングや音量バランス、カメラ割などは当然粗く、完奏されていない曲もあるが、「fat man in the bathtub」は2バージョン収録されていたりする。本編でも演奏されていた「skin it back」ではローウェルのスライドギターが本編とは全然違うフレーズをガンガン弾いていてしびれてしまった。しかも、本編にはない「rock and roll doctor」が演奏されていたり、「willin'」では集中力が散漫なのか、あるいは何か機嫌が悪かったのか定かではないが、ローウェルがタバコを投げ捨てて帰って行ってしまう場面があったりと、興味が尽きない。
Featuring Norah Jones
ノラジョーンズはマンネリ化しているのかと心配していたら、そんな必要はなかった。イメチェンの新譜は出すし、話題はさらうし、そして「純歌手」としての本作コラボ集まで出してしまった。
彼女は、アリシア・キーズとライバル視されているが、よき相手に恵まれた。グラミー賞の受賞回数ではキース12回、ノラ9回と少し水を開けられてはいる。両人とも優秀グローバル・アーチストであって、グラミー賞なんてどうでもいいかもしれない。ノラは父親がインド人なので東洋系として日本での人気は断トツだ。自然体のお嬢様風がいいのかも。
アリシアはピアノ演奏、作詞・作曲、歌唱と全てにバランスの取れた努力の人。
これに対しノラは天性の歌唱力が抜群で、いわば天才歌手だと思う。自作曲は優秀だがメガトンヒットはなく、ピアノ・ギターの演奏力もただ優秀なけだろう。つまりこの人は、ビリー・ホリティのように、歌手として良い曲、特にスタンダードジャズなんかをさらりと歌っていれば、それだけで一番魅力的なんだと思う。
本作品はブルース、カントリージャズ、ニュージャズからラッブまで、それぞれの相手と肩の力を抜いて歌唱を存分に楽しんでいる余裕が伺える。「ノラのアラカルト料理」が実にいい。曲は2000年からのものだが比較的新しい佳作が多い。いつもよりより軽い気分で聴け、あとに「ノラ・カラー」の余韻が残る不思議なコラボ集といえるだろう。
Little Feat 5CD ORIGINAL ALBUM SERIES BOX SET
約一年前に、全CDを集めたのにこんなものが出るなんて、どうかしてるぜ。
僕の大好きなアルバムDixie Chickenはロックという大きな鍋の底で煮込まれたジューシーチキンだ。
この値段でこの風味はたまんない。興味のある人にはぜひ味わってもらいたい。
それにしても「小さな偉業」だなんて、ぴったりなバンドネームだと思う。
気に入ったら、次は超傑作ライブアルバムWAITING FOR COLUMBUSがおすすめ。
Spectacle.
待望の3rdアルバムが約2年ぶりにリリースされました。
1stの『the P.I.A.N.O set』、2ndの『MELODIES MELODIES』から続く、
DAISHI特有の美しい旋律に心揺さぶられます。特に歌ものでは
3. FOREVER FRIENDS と 10. Find My Wayが聴かせる作りで秀逸です。
そして事前プロモでも使用された 8. Planetariumは、誰もが魅了する調べ
になっていると感じました。美メロと哀愁を感じさせる持ち味は今作も
健在です。
またDAISHI DANCEは知らなくても、今ではTVなどでもよく流れ、耳にする
機会は頻繁にあるといえます。ハウスミュージックに大きな門戸を広げて
いるDAISHIの新作として、ますます評価が上がるデキだと思いました。