あやし (角川文庫)
宮部みゆきの手になる江戸の市井を舞台にした短編集。題名にもあるように、今回は怪奇小説の作品集になっている。とはいえ、単に怖がらせよう、背筋が寒くなるといった突き放した内容ではなく、読後、人情や情愛、人生といったことに深い思いを感じる、心のひだに触れるような印象深い作品が多く、正に珠玉の作品集になっている。
断絶した商家の番頭が語る一家の最期の真実(「影牢」)、商家に奉公にあがった口をきけない少年が納戸の奥に首だけの女の絵を見つけた(「女の首」)、急死した姉の後を継いだ幼い妹が経験する奉公先の秘密(「布団部屋」)、義母が若妻に語り残した鬼の話(「安達家の鬼」)、奉公の女が差配人の家で出会った女の正体は?(「時雨鬼」)などなど9編が収められている。
もともと宮部江戸もの短編は読みやすく外れが少ないが、怪奇小説というテーマのもとにここまで多様な物語を見せてくれるのは見事。背中にちょっとピリピリした怖さを味わいながら読んでいくのも読書の醍醐味でしょう。お勧め。
影牢2 -Dark Illusion- 公式パーフェクトガイド
「パーフェクトガイド」と銘打つだけあって、隠し罠を含む全ての罠のデータ、サイドストーリーやサバイバルモードに登場する全ての敵のデータ等、先に発売された「マスターガイド」に掲載されていなかったデータが多数収録されています。
ただ、攻略に役に立つのかといえば別の問題で、トラップバトルの特性を効果範囲などの図を交えて懇切丁寧に解説していた「マスターガイド」のほうがやり込んでいない方には役立つと思います。
読んでいて面白い記述も少ないし、裏情報や開発者の声が聞けるわけでもない、写真等のビジュアル面でもイマイチぱっとしないなど、少々期待はずれと言わざるを得ない一冊です。データブックとしてはパーフェクトなのかもしれませんが、それ以上でもそれ以下でもないですね。
影牢~刻命館真章~
ゲーム中の楽曲が全収録されたアルバム。暗めで儀式的な曲が印象的で、一方で環境音楽的な楽曲もある。だが、個人の嗜好はさておきどの曲もプレイステーションの作品の割には音質が突出して高く、楽曲そのものも完成度が極めて高水準を維持しており、単に不気味な雰囲気のみならず美しい旋律の曲や劇的な雰囲気の作品も目立ち、それらが破綻をきたさずに作品に十二分に合っているのは凄い。凡百のRPGの音楽よりも余程鮮烈な印象を与えてくれたアルバム。この音楽は根底からしてこのシリーズにしか表現し得ないものだろう。
影牢II Dark illusion
まず言えることは、前作よりかなり取っつきやすくなっており短時間でクリヤー
できるようになっていると思います。また、このゲームの魅力である罠をはめることの爽快感は十分味わえます。
しかし、トラップの種類がもう少し欲しいと感じます。
具体的には蒼魔灯であったように標準装備をアップグレードしたり新しい効果を付与できたりする
トラップの発展要素があるとよいと思いました。
また、シナリオの分岐が少なくしかも終末が大きく変わるような変化がないため
「もしも」の部分が楽しめないという感じがします。
あとはテクニカルなことですが、バグが多いことがあります。凍ったまま動き出したり、
花瓶をかぶったのに無効になるようなことが結構頻発します。
また、台詞をとばすことが出来ず、ミッション前のムービーを全部とばすか全部聞くかしかない
という点は改善した方がいいように思います。
また分岐の部分のストーリーの部分は全くとばせないので、2週目以降は必要
ないので、選択肢の前までとばせるようにした方がいいように思います。
ストーリー的に最も奥深さを感じるのは、悪を犯すことに対する動機が人間の不条理さ
と結びついていた前作の影牢が最もよかったように思います。
このような背徳的な部分を出せないのは、社会的風潮もあると思いますが、
街中で人間を撃ち殺して回るようなゲームに比べると、人間の不条理さを浮き彫りに
し殺すことの意味を考えさせるゲームであるなら、遙かに価値があると思いましたが、いかがでしょうか。
そういう意味で、今後もストーリー的にもっと悪に踏み込んだ世界観を展開した希少なゲームとして期待しています。
影牢2 Dark illusion ザ・マスターガイド (電撃プレイステーション)
刻命館シリーズの愛好者から、初めて影牢に触れた方まで、
全ての方にオススメできる攻略本。
一見すると、初心者の方には少々難解な本かもしれないが、
表記に曖昧な所が少なく、「強制移動3ブロック」「磁力
効果2ブロック」等、文字だけでは曖昧になりがちな情報
も的確に視覚化されていて、「仰向けの侵入者にカビンを
落とせば、頭の方向に移動する」等かゆい所にも手の届く
詳細な解説が有り難い。
勿論、登場する全ての館の仕掛けも網羅。
各部屋でのオススメコンボも複数掲載されているので、オ
リジナルコンボを設計する際の設置ミスも、この本を参考
にすればおおいに減る事と思う。また、敵の情報も体重か
ら攻撃方法まで詳細に解説されているので、予測しない動
きで敵に翻弄される事も少ないのでは。
惜しいのが、あくまでも中盤までの解説書という点だが、
それ以外の要素は現時点では完全であり完璧。前作「影牢」
「蒼魔灯」の時にも、これほどの詳細かつ丁寧な解説書は
販売後しばらく待たなくては出てこなかったので、「影牢
2」からのユーザーが正直羨ましいw
ゲームの肝がトラップコンボの設計である以上、
詳細かつ誤解の少ないデータは必携の物だと思う。
完全版の発行が待ちどおしいが、現時点では最上の攻略本。
敵を知り、己をしっかりと把握したい方にオススメしたい。