宇宙の戦士 (ハヤカワ文庫 SF (230))
右翼的だとかファシズムだとかよく書かれているのだが、あまりに普通なので拍子抜けしたぐらいだ。逆に、あとがきにグダグダ書かれている昭和40年代の読者評の方がよっぽど不気味である。ほんの30年前、日本人はここまでバカだったのか??と驚いた。現代日本の読者ではイラク戦争に賛成であろうが、反対であろうが、この本に書かれていることに拒否反応を示すのはごく少数だろう。
ストーリーらしいストーリーはなく、組織内での地位に求められる責任がひたすら説かれている。軍隊を会社に置き換えてもほとんど通用する内容であろう。そこには単細胞的な押しつけはなく、あくまでも理詰めである。若者よりも、ある程度人生経験を積んだ人、何らかの管理者的役割をになう人に必読の書である。
スターシップ・トゥルーパーズ3 デラックス・コレクターズ・エディション(2枚組) [DVD]
スターシップトゥルーパーズは「アメリカ臭さ」が売りであるのだが3作目は1作目のアメリカ臭さを見事再現してくれました!途中で入るCMや総司令官の「今日は死に日和」最高ですね。アノーキグッズ欲しくなりました。
最後に出てくるロボットは強すぎてどうかと思いましたけどその強引さもアメリカらしさなのかな。SFコメディー映画としてかなり楽しめる映画です。自分を含め2作目やクロニクルでがっかりした人も多かったと思いますがこれは面白さが復活です!
スマイルBEST ブラックブック [DVD]
史実に忠実かは私にはわからない。
しかし面白い。
主演女優の体当たり演技も度肝を抜かれる。
そして何よりもその意外さ。
物語の中核はナチス対レジスタンス。
ナチスを扱った映画にありがちな、ドイツが降伏して解放されてハッピーエンド
という図式ではない。
敵と味方が入り混じり、そこにある人間ドラマを描いている。
戦争映画とか戦時映画というよりも、一級のサスペンス映画だと思う。
オリジナル・サウンドトラック「スターシップ・トゥルーパーズ」
映画本編は男気溢れる熱い出来映え(やり過ぎとも言う?)であったが、音楽の方も負けじと燃えるスコアとなっている。作曲はロボコップでもヴァーホーベン監督をコンビを組んでいたベージル・ポルデュリス。
映画そのものが「荒唐無稽な暴力映画」であるため、そのスコアも押し出しは強烈。曲目リストに目を通しただけで、それがお分かり頂けるだろう。愛のテーマらしきものもあるが、もちろん本作品の本領はそこではない。
1曲目「連邦放送局マーチ」の軍隊調のスネアドラムに始まって2曲目「巨大昆虫型異星生物」ではブラスの唸りが大爆発。そこで使われるメインテーマは8曲目「ロジャー・ヤング号破壊」や9曲目「ブレインバグ」でも顔を出し、確実に耳に残る。個人的にはコナン・ザ・グレートやロボコップに並ぶポルデュリスのベストワークではないかと思う。
なお、最後の11曲目に収録されている「イントゥ・イット」はボーカル曲で、ポルデュリスの娘が作詞/作曲して自ら歌っているらしい。劇中では、卒業パーティーのシーンに使われていたようだ。
全11曲、総収録時間約36分。
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SFアクションに見せた痛烈なる社会批判。冒頭3分あまりの歴史の授業の中にこの映画の価値が凝縮されている。一般民と市民の違いは何か?我々にとって国家とは?安定した平和な世界を実現できるのは、偉そうに御託を並べているだけの社会科学者か、それとも絶対的な力か?
この映画には他にも興味深い点が多くある。男女共同参画どころか、寝食を共にし同等に困難な作業をこなす完全男女平等社会。自分が仕掛けたことはすっかり忘れて、やられたら倍にしてやり返せと逆切れ反撃正議論を振りかざす地球連邦にアラモ以来のアメリカ的外交が透けて見える。バグズが知的生物か否かという論争は、新大陸植民開始期に流行ったネイティブアメリカンは人間か否かという論争とダブって見える。知的でなければ煮て焼いて食ってもいいということなのか。自然と人間の二項対立が目立つ西洋的価値観がそこにはあるのかもしれない。その他にも、国家の忠告を無視して植民し虐殺されてしまった宗教団体。報道の正義か特ダネ欲しさかわからないが、同僚が襲われているのに、なおカメラを回す報道馬鹿。国家や世間体なんて関係ないとばかりに金儲けだけに走る「一般民」。市民権と引き換えに、ひたすら国家に駒扱いされる一兵卒。SFはとかく非現実的な設定で深遠なテーマを取り扱うことが出来るとはいえ、一つの映画でここまで盛りだくさんなテーマを揃えてくれたとは本当に驚きである。
この映画は多くの問題提起をしているがはっきりした答えは与えてくれていない。軍事政権を批判しているのか、それとも資本主義に巣食う社会科学者を批判しているのか?絶対の力による支配がいいことなのか、悪いことなのか?これらはそもそも安易に答えられる問題ではない。映画を見終わってから我々一人一人が考えていくべきことであろう。