小説 天空の城ラピュタ〈後篇〉 (アニメージュ文庫)
映画では、理解できなかった所が
理解できました。
映画と違って、頭の中で描けるのは、一味違っていい体験ですね。
ジブリファンの私にとっては、とても有益な一冊でした。
トゥインクル☆スターシップ〈5〉ダメー!これ、あたしの!! (ファミ通文庫)
今回は今まで以上にラブでコメしています。
巻頭カラーイラストもキワどく!?
意外な人物が意外な行動に出たり、そのおかげで主人公周辺の関係がさらに複雑になったり、
謎が少しずつ解けたかとおもえばさらに謎を呼んだり――
またも続きがたのしみです。
回を重ねるごとに本が厚みを増していくのは気のせいか…?
変身 (新潮文庫)
ある朝突然、平凡なサラリーマンが巨大な毒虫に変身した。
そんなありえない設定を、最後まで疑問もなく押し通した作品である。
一家の稼ぎ手を失った両親と妹は、だんだんと困窮しながら毒虫を存在しないものとして意識の外へ追い出そうとする。
最初は当惑で始まった毒虫への家族の感情は、最後には隠すことのできない憎悪にまでなる。家族の憎しみに対する絶望と飢えからグレーゴルが衰弱死して、家族はようやく明るさを取り戻すところで物語は終わる。
毒虫の姿の描写があまりにリアルなので、虫嫌いにはちょっと寒気がした。それでも毒虫になって家族に殺されたといっても過言ではないグレーゴルは、人間に戻りたいという欲求はほとんどないように見える。だからこそ毒虫に変身するという異常な事態が、ごく普通の出来事のように見えるのだけれど。
毒虫に変身してしまった人は、現代という社会の中ではもっとたくさんいるのだ。ある朝突然変身してしまう人もいれば、徐々に姿が変わっていく人もいる。そして周りの家族の心境も、ザムザ家と同じようなものだ。家族の絆の脆さを捉えた作品だと思う。
陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)
私はへそ曲がりである。
ブームに乗っかるのが嫌なのである。
だから“陰陽師&安倍清明ブーム”の真っ最中には、この本を手に取ることはなかった。
映画も観なかった。
やせ我慢というやつである。
先日、偶然に『陰陽師』と『陰陽師2』を観る機会に恵まれた。
非常に面白かった。
面白くて興味が湧きあがるのを、最早止めることも出来ずに本書を購入した。
何故、今まで読まなかったんだ!とへそ曲がりの自分自身に腹が立った。
平安時代…まだネオンサインも街灯も何にもない時代である。
当然“暗くなったら寝る”生活であったろうし、もののけや鬼や霊やいろんなものが当たり前に存在していた、
或いは信じられていた時代であったろう。
そういった類のものに驚きも動揺もせずに、当たり前に対処する安部清明。
痛快である。
本書を読んで感じたのは、深い深い静けさと漆黒の闇である。
まるで自分がその中にいるかのように感じ、清明と博雅の姿をこっそり覗き見しているような気になった。
それだけ物語の力が、引力が強いのだろう。
最初の一文で、その世界に入り込める。
安部清明はいわゆるスーパーヒーロー的な存在なのだが、あまりに淡々と事に当たる為、
読み手も淡々と出来事を受け止めるしかない。
平安の世も、この作品のような暗い静けさの中に存在したのであろうか。
いずれにせよ、文句なしに面白く、楽しめる本である。
歴史的な知識がなくとも十分に楽しめる。
読まないと損、な本に属するのは間違いないだろう。
必読である。