Call of Duty: World at War (PS3 輸入版 北米)
といった感じの超オラオラ系FPS。戦闘は息をもつかせぬスピーディー展開。しかし余裕ぶっこいてズカズカ進める訳でもなく、ふと飛んできては即死の手榴弾にビクビクしつつ、そして何度も死につつちょくちょく進んでいく。でもチェックポイントが多めにあるのであまり苦ではない。難易度はかなりバランスが取れてると思います。
さて、よく話に挙がっている部位欠損などのゴア表現ですが、戦闘が目まぐるしすぎて気にしている余裕はほとんどありません。
が、いざ見てみるとかなりグロいです。結構作りこまれてます。ドイツ兵と鉢合わせして機関銃連射で脚をもぎ、驚愕の表情で無い脚を見つめて死んでいったあの瞬間は、流石に背筋が寒くなりました。
血の表現も、乾いたような血飛沫がぶしゅっと出るのではなく、ドロリとした血液がドバッと出てかなりリアルです。
ストーリーと言うか、戦闘は基本的に大軍でぶつかり合います。一人で潜入して一人で施設の敵を一掃。なんてのは無く、これこそ世界大戦の戦闘という感じです。敵味方関係なく、ボコボコ出てきてボコボコ死んでいきます。
途中で狙撃兵プレイの回があったりしますが、内容、展開共にかなりしっかりしています。
一つ釈然としないのが、やはり日本軍相手だということ。火炎放射器で燃やせば「熱い! 熱いぃッ!」と、日本人らしい悲鳴をあげて死んでいくので、どんどん悪いことをした気がしてきます。悪いことなんですが。
でも、FPSとしては最高峰の出来であることは確かと言って良いでしょう。グラフィックや音楽も申し分無いです。好きです。
テンペスト 上 若夏の巻
とことん、エンターティメントに徹した作品です。
宝塚と、大奥と、韓流の純愛ドラマと、チャングムの雰囲気をちょっとずつ拝借してできあがったような印象があります。
「歴史小説の重厚さ」を望む方や、奥深い小説を望む方は、手に取るべきではありません。
また、エンターティメント特有の突飛な人物設定、フィクション小説だからこそのストーリー展開がありますので、リアリティーを求める方も手に取るべきではありません。
そしてストーリー自体、決して斬新ではありません。「いじめられつつも成功の階段を上っていく主人公」「障害の多い純愛物語」「女同士の争い」などなど、いわゆる「よくあるパターン」、どちらかと言えば「ベタ」な内容です。「意外な展開」というのもありません。
また、出てくる言葉も平易なものばかりです。「研ぎ澄まされた言い回しを味わうことで小説を楽しみたい」というような方向けでもありません。
ただ、私自身はこの小説は嫌いではありません。何より琉球王朝や主人公の姿形の美しさは十分に伝わってきて、「映像で見てみたい」と思いました。
しかしこの小説、読み終えるまで何カ月もかかってしまいました。
これは人それぞれだと思いますが、もともとかなりのボリュームがある中に、多種にわたるエンタメの要素が詰め込まれているため、途中で他の本で休みつつ読まないと前に進めませんでした。
そして多くの方が指摘されるように、
「清国の商人たちにキックバックを要求していたのだ」
「被災者によく見られるパニック発作だ」
というように、琉球王朝の時代(日本に薩摩藩があった時代)を表現するのにそぐわない、現代的なカタカナ言葉が多々登場したのは残念でした。格調高い琉球王朝の美意識を表現するにあたり、そんな言葉達が邪魔をしている印象がありました。
また、徐丁垓登場のシーンは、「携帯小説的」と揶揄されてしまうような陳腐さを感じさせてしまいました。もう1人の宦官を登場させるのは、エンタメ的には悪いとは思いませんが、あのように暴力的な描写によりドラマチックさを演出するのは、「軽い」と言われてしまう要因の一つであると思いました。