黄泉がえり スタンダード・エディション [DVD]
60年前に行方不明になった息子、病気で亡くなった妻、喧嘩に巻き込まれて死んだ夫・・・すでに死んでしまった人が、突如飛来した隕石の不思議な力で、次々によみがえる。死人が生き返るというと、どうしても呪術的魔術的イメージに引きずられてしまうが、隕石というSF的な設定が、例えば『死国』のようなオカルトに陥ることを防いでいて、まずアイディアとして成功している。
本作のテーマは「もし、亡くなった大切な人が返って来たら、あなたならどうするだろう」と問うことである。しかしこの設問は実は、「もし、大切な人と死に別れなければならなくなったら、あなたならどうするだろう」という設問とまったく同じなのである。
キューブラーロスの「死の瞬間と死後の生」という名著がある。死に逝く者と残される者がお互いに理解しあって穏やかで満ち足りた死を迎えることの大切さを説いたものだが、この本の読後感と、本作品を見終わった感動は非常に似ている。
なぜか。それは、どちらも生と死を両側から見つめあう構造になっているからである。本作のテーマは、したがって、生と死の境界に何を見出すのか、ということなのである。
映画としても、ヒューマンドラマでありながら、プロットがサスペンスのように巧みで、あきさせない。何組もの蘇った人たちを描いていながら、そのどれもが情感にあふれていて、丁寧に描かれており、ちゃんと感情移入していける。
ストーリーとしても映画としても、よくできた作品だと思う。まだ見ていない方は廉価版がでたこの機会にぜひ、どうぞ。きっと、穏やかなやさしい気持ちになれるはずである。
ゆきずりエマノン
梶尾真治が『エマノン』というキャラクターを生み出したのは1979年のことだ。
地球が誕生した時からの生命の記憶のすべてを持っている少女・エマノン、
時には彼女が主人公として、時には狂言役として、エマノンは地球の、生命の声に従いながら、放浪し続ける。
・・とまあこんなだいそれた設定はやっぱり80年代のもので、今ではちょっとあれだよなぁというレトロな感じは隠せない。
そのエマノンの哀しみとかそんなモノを了解して共有した上で、最新作に当たるのならうるうるなんだけど、
この作品で初めてエマノンに出会う人にはちょっと話の骨格の割にはこじんまりとまとめ過ぎでサラッと流れて終わりってことにもなりかねない。
だから、これはちょっと邪道な入門だけど、鶴田謙二先生のcomic版『おもいでエマノン』から入って、この本にシフトするのがよろしいかもよ。
まあcomic版から入ると鶴田エマノンのイメージが固定しちゃうというのが難点だけど、エーイ、いいじゃん、今からのヒトはこれで行きましょう!
だって梶尾先生のオリジナル第1作はすでに入手困難なんだから、仕方ない。
で、9年ぶりの『エマノン』は、以下の4つの短編からなる。
『おもいでレガシー』、『ぬばたまガーディアン』、『いにしえウィアム』、『あさやけエクソダス』
最後の短編のラストの切なさなんてさりげなくて、泣ける。
そして、梶尾真治先生同様、
あなたはあなたのエマノンに何処かの街角ですれ違っていることにきっと気付かされるだろう。
クレープを二度食えば(リュウコミックス)
雑誌の上で交換日記?をするとりから往復書簡 (1) (リュウコミックス)(最終話はtwitter上でリアルタイムにやりとりしていた)や
SF+ギャグ+ハードボイルド・の冷食捜査官(1) (モーニングKC)など、著者の振り幅はとても広い。
その中で「叙情SF」としてくくられるであろう中短編の集大成である一冊。
表題作は某ライトノベルに出てくる図書委員が選ぶ100冊の中に選ばれているらしい(評者は読んでいない)。
タイトルだけからは分かりにくいがタイムトラベルもの。
そこに「青春」「恋愛」というスパイスがふりかけられている。
心の琴線に触れる要素満載、である。同年代(中学生)で読めばなおさらの事。
もともと時間SFや恋愛/叙情SFは日本ではウケがよい。
そして、中学生や高校生が手に取りやすい文庫にも収録されていた。
かつての集英社コバルト文庫などでは、これらのテーマでオリジナルアンソロジーが出されていた。
近年では大森望による不思議の扉 時をかける恋 (角川文庫)など<不思議の扉>3冊が
この系列にあたるだろう。
こうしたアンソロジーに入っていても遜色のない表題作。
かつて甘酸っぱい青春を送った(送りたかった)世代に。
そして、現在まっただ中である世代に。
受け継がれていって欲しい一冊である。
表題作の主人公<カジシン>は、おそらく筆者と同郷の作家である梶尾真治からのネーミング。
同氏の美亜へ贈る真珠―梶尾真治短篇傑作選 ロマンチック篇 (ハヤカワ文庫JA)などもおススメ。
黄泉がえり [DVD]
この映画を観ている間、ずっとと言う程泣いてました。
だって色々な人の別れと再会が次から次へと移り変わるんです。
おばあさんと行方不明の息子の再会で、先ず切なくなりました。
中学生や、自分より年下になったお兄さんと弟とか。死んだ人が甦ったら嬉しいだろうな、と、自分の祖母のことを考えたりして・・・。
大事な人と死に別れた人が見れば、きっと何かを感じるはずです。悲しいことに変わりはありません。でも、「会いたい。」と思う気持ちが大事なんだと思います。(←歌詞のせいもありますが。)
死について、深く考えるチャンスです。亡くなった方への自分の気持ちをもう一度思い返します。大事に思える人がいるということはとても幸せなことだと思います。(ちょっとクサイですね・・・。)
挿入歌の「月のしずく」。これをRUIが歌うと、話が余計に引き立ちます。涙を誘います。
無性に胸が締め付けられて、涙が止まらないと思います。目が真っ赤になるので、時間がある時に観ることをオススメします。
全体的にキレイな映画です。
この胸いっぱいの愛を -未来からの“黄泉がえり”- [DVD]
映画館で予告を観て、絶対観ようと思って観にいきました。
話は笑いも少しありましたが、ほとんど切ないです。
出演者の演技も見所です。
伊藤英明くんは格好よいし、ミムラは綺麗だし、比呂志の子供時代を演じていた子役が、可愛いvv
最後の方考えさせらる事ばかりで、ちょっと理解しがたい部分もありましたが、全体的にみれば結構満足のいく作品でした♪
あと、ヤクザの男の子の話が私的にお勧めかな(笑)