乱暴と待機(初回限定版) [DVD]
木造平屋の市営住宅に、番上と妻・あずさが越してくる。妻は妊娠中だ。
同じ並びに奈々瀬と怪しげな同居人英則が住んでいる。
二人は兄弟でもないのに、『お兄ちゃん』と呼ぶ関係だ。
20年前に起きた事故の復讐を企む英則は、事故の原因を生んだと
思い込み、奈々瀬を軟禁しているのだ。
そのことを了解している奈々瀬は、英則の望む女になろうと、
覗かれる女に徹している。英則も『マラソンに行く』と言って、
奈々瀬を覗くことを趣味にしている社会性の低い男だ。
奈々瀬の怯える態度に興味を持った番上は、言葉巧みに奈々瀬を
誘惑したことから、夫婦の関係に亀裂が入る。
番上と奈々瀬の浮気現場を目撃したあずさは、包丁を振り回し
仰天した英則が天井裏から落下してくる。
世界観の小さい市営住宅を舞台としている作品だが、英則を演じる
浅野忠信の怪演には笑いがでる。変人4人が登場し騒動を起こす
変な作品だった。
乱暴と待機 (MF文庫ダ・ヴィンチ)
壊れた人間を描かせたらたぶん日本一の作家、本谷有希子が描く恋愛小説。
「お兄ちゃん」の復讐をただひたすら待ち続ける奈々瀬と、理由もなく奈々瀬への復讐方法をひたすら考え続ける英則。そんな奇妙な二人の生活の場に、ある日、一組のカップルが割り込んできて……。
四人の視点で物語を語るという、ちょっと変わった趣向で、人の壊れている様子が描かれます。
また四人が四人ともみんな「どこかおかしい」人なのはさすが本谷有希子といった感じ。
いつもとやや違い、壊れているというよりは「変態」な人が出てくるのも面白かったです。
もっとも、視線を変えて深読みしたり、まっすぐに読むとすぐさまとても怖い小説になります。この辺、どう読むかは読者次第なのではないでしょうか。
個人的には、彼女にはこの路線をまっすぐ突き進んで行って欲しいです。
あとタイトルは「復讐」でよかったような気がしました。
NHK みんなのうた [DVD]
2004年に発売されたアイテムの再発版。収録曲はおおむね年代ごとにまとめられているが、再放送での印象が強い曲も多く、各巻ごとの構成も考えての取り合わせとなっている。
個人的には第6集(70年代後半)から第9集(80年代前半)がお気に入り。「泣いていた女の子」「雪祭り」といったみなみらんぼうのこわーい歌! 研ナオコが歌った「アスタ・ルエゴ」の首でジャグリングする猫! 谷山浩子「まっくら森の歌」はCD音源より断然こっちのほうがいいし、「サラマンドラ」「赤鬼と青鬼のタンゴ」「ふたごのオオカミ大冒険」「オランガタン」「ラジャ・マハラジャ」「赤い帽子」など、お気に入りが多い! 「リンゴの森の子猫たち」はアニメ『スプーンおばさん』のエンディングテーマで、『うる星やつら』のオープニングでもおなじみの萌え職人・南家こうじがアニメーションを担当した。南家作品でいうと、「しっぽのきもち」や、本シリーズには未収録だが森口博子の「上級生」も素晴らしい。萌え転がりますよ! いやホントに!
欲を言えば、チャプター再生後、メニューへ戻れる仕様があればなおよかった。あれとあれだけ見たい聞きたいというニーズは多いと思うのだが。
乱暴と待機(通常版) [DVD]
いやあ、オフビートといえばオフビートなんだろうけど、それはもう虚無すれすれで、
シュールといえばシュールだけど、なんか一瞬すごく綺麗だったりもする。
おんぼろ平屋の長屋。さびたトタン屋根。
いつも灰色のジャージ姿のめがねっ子。
お下げ髪の真ん中分けで丸メガネだから、「ごくせん」の気配強し。
この女が、やはりジャージを着て、メガネをかけて、いつもテープを聴いている、
片足を引きずった男と同居している。
そこへ夫婦が越してくる。妻は妊娠していて、夫は無職。
夫は律儀にご近所まわりをする。メガネっ子は昼から仏壇に向かって読経中。
挨拶に立ち寄った男は、無防備で、そこが妙に性的気配をかもしだしている女に興味を持つ。
だがじつはこのメガネっ子、妊婦妻の高校の時の同級生で、彼女の恋人を寝取ってしまった過去がある。
それを知った妊婦は、メガネっ子を問い詰め、蹴り飛ばし、メガネは「うひょー」といって一回転する。
「ヒャウじゃねぇよ、この豚」。と言い捨てて、女は去る。
臨月となった女、メガネっ子と夫の決定的な場面を目撃。それを屋根裏から覗いていたジャージ男、
天井板が外れて落下。妊婦は破水。だだもれの羊水を無視して、女は包丁を手に持つ。
騒ぎが収まった夜。メガネっ子とジャージ男は、いつものように、2段ベッドの上下に寝ながら会話する。
ある意味、ここが山場で、ちょっと天上的な美しさを、画面はたたえてしまう。
メガネっ子の心情は、コレットが『青い麦』で主人公ヴァンカに託して述べたものと同じ。
非常に屈折しまくっている映画なのに、見終わって、
たとえば『寺内貫太郎一家』とか『時間ですよ』などのような、
妙にまっとうなドラマを見たという気になる。記憶の中で消えさらない。
それはこの4人が持っている明らかな"狂い"が、今の日本の標準だからでしょう。
僕らはそれに囲まれ、その中に暮らしている。
見ていて時々、『月光の囁き』と『HUSH!』を思い出した。
エンディングのクレジットロールで流れだすのは、やくしまるえつこ(相対性理論)の歌。
DREAM PRICE 1000 西田敏行 もしもピアノが弾けたなら
うちの居間にはヤマハのアップ・ライトがある。お袋が教師を退職記念に購入したもの。いまは小学校の男性教諭もピアノを弾けないと採用されない。山形県では。それから泳げないと。俺はかなずちだしピアノも弾けないから田舎の小学校の先生にもなれない。プロのピアニストはやむを得ずアップ・ライトを弾くときは覆いの板を外し鍵盤を露出する。世良譲が昔、米沢の女子高に来たときはそうした。ジャズの向こうのピアニストの写真でも外してる。アップ・ライトはグランドに比して音が弱いからだろう。坂本竜一の奥さんだった?矢野顕子は出前でピアノを演奏して歌うそうだ。あごあし付きでギャラ幾らなんだろ?森山良子さんがいいな。ギターだし。高そう。私、ギターは少し弾けます。武満徹編曲の「イエスタディ」も弾けるぞ。案外難しい。女の子の前で演奏したが義理で拍手ぱちぱちでお終い。ピアノはもてそうだな。大岡昇平は60過ぎてピアノを習ってる。うちにはシンセもある。これは簡単そうだ。看護師の律子さんにピアノを弾く男に魅かれるか?聞いたら「お金持ちなら」という答えが返ってきた。うーむ。ピアノやめた。