ニック・ドレイク―悲しみのバイオグラフィ
こんなに悲すぎるソングライターの物語がまさか邦訳されるとは。
ストレンジデイズの勇断に拍手です。
ジョーボイドが去ったことで、彼の孤独に拍車がかかる様子がよく分かります。
洋書ですが、ジョーボイドの自伝、White Bicyclesもあわせて読めば60年代末の英国フォークシーンとニックドレイクに少しは迫れるかもしれません。
謎の多いニック・ドレイクの姿を追いかけた唯一の和書として超貴重な一冊。
Five Leaves Left
2曲目のRiver Manのストリングスがとても好きだったのです。アレンジしたのはハリーロビンソンという人で、プロ中のプロです。ディーリアスとフォークの邂逅、と評されているようです。でもドレイク自身は納得していなかったらしく、自分の大学の友人ロバートカービーに他の曲を任せます。Way to Blueなどの、素直なストリングスパートがこうして書かれました。今思うのですが、カービーのアレンジはドレイクの若い感傷にマッチしています。でもRiver Manのような曲では、やはりロビンソンで良かったかな、と思います。
Three Hours やCello Songのような力強い曲と、Man in a Shedのような微笑ましくて、これは若くなきゃ書けないな、というような曲があって、そんな二面性がこのアルバムの魅力です。
Pink Moon
ミャンマー生まれ、イギリス育ちの孤高のシンガーソングライター、nick drakeの3rd album。
リリースは72年island recordsから。
聞こえてくるのは儚くて物憂げな歌声と、複雑に爪弾かれるguitarの音色と、ほんのちょっと鳴らされるpianoだけで、他はないです。
「装飾はいらない」とは彼の弁で、切迫した精神が醸し出すリアリティというか、最早偽ることの出来ない苦しいむき出しの心情を、その空気感をこのシンプルな楽曲達から感じずにはいられない。
たった26歳でこの世を去ってしまった彼ですが、その才能は現代ではどんどん評価されていることがとても救いで、稀有な才能を持つシンガーソングライターのパーソナルなアーカイブスを、こうして聞けけるのが嬉しいです。
確かに痛々しく重たいテーマの作品なのですが、リスナーに届けたかったのであろうとても優しいぬくもりも感じられます。
ジャケは一瞬プログレかと思いました。
Bryter Layter
どれから聴こうか迷って最初にこれに手を出したのですけど、順番的にはあまり正しくなかったかもしれませんね
これはこれで名盤なんですけども、ニックドレイクの一番濃いところとは違うのかもしれません
素晴らしいアルバムであることに違いはないのだけど、
これから入ると、ニックドレイクにやられてしまった!
という体験には至らない人がいるかもね
他のを聴いてからこれを聴いた方が、これの良さがよりわかる
他のを聴いたら、人によっては、これは違うって思うのかもしれないけども、
いや、他のを聴いたらばこそ、このアルバムの良いとこが解るってものじゃあないでしょうか
だから、最初にはこれは聴かないでね
出た順番に聴いて良いんじゃないでしょうか
とはいえ、とはいえだ、美しいアルバムですね