「マンダレイ&ドッグヴィル」オリジナル・サウンドトラック
ワグナーを使った「エピデミック」。チャプターごとに70年代ロックが効果的に流れる「奇跡の海」。ミュージカル作品「ダンサーインザダーク」などラース作品に象徴となる音楽は欠かせない。先日拝見した「ディアウェンデイ」でもゾンビースが使われてました。そしてアメリカ三部作のこのサントラ。「ドッグヴィル」ではヴィヴァルディ「2つのヴァイオリンと2つのチェロのための協奏曲ト長調」。「マンダレイ」では同じくヴィヴァルディ「ファゴット協奏曲イ短調」がテーマに使われてます。他にもヘンデル、アルビノー二、ペルゴレージなどバロック音楽が使われております。勿論、Dボウイの「ヤングアメリカ」も収録。早く三部作完結「ワシントン」が見たい!!
『ドッグヴィル』×『マンダレイ』 ラース・フォン・トリアー ツインパック [DVD]
この映画は反則です…ホラーの怖さじゃなくて言葉で言い表せない怖さです…ニコールキッドマンもよく出演依頼引き受けたな…本当に粗末なセットなのに観ているうちにそこに本当の村があるみたい…。錯覚におそわれます。 ラースさんまいりました…
ドッグヴィル (BOOK PLUS)
特に始めから2時間45分くらいまではとても辛く
時間が遅く感じられました。
2時間を過ぎたあたりで観るのを辞めようと思いました。
何故なら話の内容がSMっぽくて(特に首輪は気持ち悪いです)
ひたすら甚振られるグレースを見ていられなかったからです。
(結末が気になるのでどこかのサイトでネタバレを見ようと思いましたがw)。ですが後数分の我慢だと思い、最後まで観てよかったです。
人間の汚い部分が嫌と言うほど現されていて「イタイなあ」という
気分にさせられました。
特に私は女なのでドッグヴィルの女性たちの行動は
「ひど過ぎる」「こんな女にはなりたくない」と思いいつつも、
そのような行動に出る意味はわかりました。
しかし男性の方は理解できません。というよりしたくありません。
ただ男性の方なら「嫌だ」と思いつつも
解る部分があるかもしれません。
唯一これらの男性の行動を見て解ることは
「美しいって罪」ってことでしょうか。
愛し合っていた筈のトムの裏切りは最初から予想できたように
思います。しかしトムの裏切りのおかげでグレースは
「赦す事」の傲慢さを知りドッグヴィルの人々への制裁を
思いつきます。
確かにグレースは前より冷酷に成長したかもしれませんが、
グレースになら権力を持たせても、
必ずしも冷酷な使い方はしないでしょう。
最後の15分程度はとても爽快でした。
爽快と感じるのは浅はかかもしれませんが、ドッグヴィルの人々の
愚かさにしかるべき報復がされ単純に気持ちがよかったのです。
ただ2時間45分が辛すぎたので星3つです。
マンダレイ デラックス版 [DVD]
前作ドッグヴィルの続編です。必ずドッグヴィルから見てください。マンダレイはたしかにドッグヴィルには及ばないものの、じゅうぶんな傑作です。前作のドッグヴィルがおもしろすぎただけです。
ドッグヴィルからつづくこの作品でも、トリアー監督は私たちの普遍的価値を揺すります。ドッグヴィルでは、他人を許すことが傲慢なのか、許さないことが傲慢なのかと私たちに問いました。マンダレイでは他者に抑圧されることが自由なのかそうでないのかと問われます。監督の思考とグレースの思考はずれています。監督はこの世界に正しいことなんて何ひとつないと思っていますが、グレースは常に正しいことばかりします。そんな監督に動かされているグレースは不幸になるに決まっています。メタ的設定を使い、グレースとトリアー監督が同じ位置に立った瞬間、グレースの不幸は決まっていたように思われます。だから、この映画を見ているあいだ、私たちは常に落ちつかないきもちわるさを感じるのです。
こういう作品は最高におもしろいです。ドッグヴィルやマンダレイが気にいった人は、武田泰淳という作家の「ひかりごけ」という小説を読んでみてください。カニバリズムをテーマとしていますが、この小説でも、他人を食べることを我慢するのか、食べないことを我慢するのかという価値感がぶつかります。
ニコール・キッドマン降板を嘆く人が多いようです。実は私もそう思います。けれど、ドッグヴィルのドキュメンタリー映画、「ドッグヴィルの告白」を見てみてください。ニコール・キッドマンだけでなく、ほかの役者ももうトリアー監督の映画にはでたくないと思ったのでしょう。
ドッグヴィル プレミアム・エディション [DVD]
肩肘を張らずに観たらいいですよ、と個人的にはお勧めします。
娯楽作品として観るには「疲れる」作品で、
芸術性を求めるには「挑戦的」で、
人間性を見い出すには「個性的」な映画ですが、
「完成度」は高いです。
そう感じる理由を自分なりに考えるなら、
昔から、ちらほら見聞きするテーマを扱っているが「挑戦的」で、
どこにでも居そうな醜い人間の描き方が映画的に「個人的」で、
深みに嵌まるような「疲れ」が見届けた満足感を与えてくれるからだと思います。
ただ惜しむらくは、確実に「人」と「観たい気分」かどうかを選ぶ作品であること。
安い言葉にするなら「イジメ」について、考えてもいい気分なら観られる気分だと思います。