ばかもの [DVD]
不器用な男女の関係は10年たって本物の愛へと変わる。
19歳の大学生のヒデは、年上の女性・額子に強引に部屋に連れ込まれ、童貞を奪われてしまう。
彼女にのめり込むヒデだが、年上の女性・額子の一方的な結婚宣言と共に冷たく捨てられる。
そのショックから立ち直れず、飲めなかった酒をがぶ飲みするようになる。時間をかけてゆっくりと
アルコール依存症へと変わっていく。友人の結婚式で偶然知り合った女性(教師)と同棲生活を送るが、
アルコールが途絶えることはなく、暴力を振るうこともあり、新しい恋人も不幸にし、彼女は去っていった。
狂った生活の中、職場を失い、家族からも友人からも見捨てられ、どん底まで落ちる人生に、本物の
『ばかもの』だと思う。生きる気力を失ったヒデだが、最後に助けてくれるのは、家族である両親の愛であり、
去っていった女性・額子だった。額子もまた、職場で負った怪我が原因で、不自由な体になっていた。
夫が運転するフォークリフトに挟まれ、大怪我を負い、幸せな家庭が築けなかった。
アルコール依存症のヒデと障害者になった額子との再会は、ここから作品は魅力的な展開に変わっていく・・・。
題名の『ばかもの』とは作品をご覧になれば、その意味が分かると思います。
額子を演じた内田有紀が魅力的だった。
トム・ストッパード (1) コースト・オブ・ユートピア――ユートピアの岸へ(ハヤカワ演劇文庫 26)
チェコ出身で英国劇作家トム・ストッパードによる大作。否、これはもはや叙事詩ともいうべき書物である。
時は19世紀、ロシア知識人たちの革命を巡る理想・苦悩・友情を描く。
無政府主義者バクーニン、思想家・空想的社会主義者ゲルツェン、文芸批評家ベリンスキー、詩人・革命家オガリョーフ、小説家ツルゲーネフ、哲学者スタンケーヴィチなど個性豊かな登場人物。
構成は三つに分かれて、第一部:VOYAGE「船出」、第二部:SHIPWRECK「難破」、第三部:SALVAGE「漂着」。
英本国のみならず日本でも公演され三日間という驚異の演目ながら、好評を得たようである。
圧倒的なストーリーを飽きさせずに物語を展開しているのは、演出家に敬意を表しつつも、やはり脚本家の力によるところが大きいと言えるだろう。
物語の中で繰り広げられるスラブ派と西欧派の対立や旧体制派と急進派の相克は登場人物の迫力をもって我々を魅了する。重要な登場人物であるゲルツェンはナロードニキ主義の創始者とされる。彼の思想は、農民を農奴解放の客体としてだけでなく社会主義理想の主体として捉えている。
また、この本の下敷きとなっているのが、ゲルツェンの回想記的自伝「過去と思索」で、社会思想史上非常に重要な文献である。
本書は早川書房の演劇文庫として迎いれられ、多くの人が手にし愉しめることになった。作者自身も迫害を逃れ世界を渡り歩いた事を考えると、本作品の意義は演劇界に止まらず、現代の世相を考え生き抜く上でも、たいへん大きな足跡である。
少なくとも歴史的背景と思想の系譜を知っていなければ物語の面白さは伝わりにくいように思う。ましてやロシアの知識人の深さと歴史をや。
したがって、読み手(或いは観劇者)は真の知性を求められる。
豊穣なるユートピア(楽園)はやすやすと手に入らない証左であろう。
イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック
物語としてどこまで事実なのかは知りませんが、とっても丁寧に作られています。メッセージ性も強くてすごく良い映画でした。
序章(パート1)では池内博之が日本軍将校(空手の名手)で出演しており、クライマックスでの重要な役柄です。イップマンが10人を相手にするシーンもスピード感があって素晴らしいものでした。総じてなかなかカッコよかったです。
葉問(パート2)は後日の発展談が軸になりますが、パート1と比べると少し話が散漫な印象を受けました。勿論、全く悪くはないのですが・・ できればパート1を30分ほど長くしてパート2の大切な部分を集約してしまっても良かったのではないかと感じました。(サモハン大好きですが直接は関係無かったりしますしねw)
ウマく仕上がればより濃厚な1本が出来たような気もしますね。。
まあ、
やはり他の武術映画と比べると本場は格が違いますね。終始話が暗いのが多少気になる点ですが、それに関しては1930〜1950年代の時代背景をよく理解して観るとより判りやすかったのかもしれません。
派手なだけのハリウッド物とは一線を画する本物のクンフー映画です。ついついカラダが動きました(笑)まだ観ていない方はぜひ!評判通りの良作です!
SWITCH Vol.20 No.9(SEPTEMBER 2002)
今、活躍している人が満載だと思います。マリクワ特集がかなりそれを物語っています。目に見える形でそのとき起こっていた動きの結果が分かる今の方が意外と読みやすかったりするかもしれません。バックナンバーを読む楽しみはそういうところにある気がします。約2年前の中島美嘉も今の中島美嘉になるちょい前くらい感が出ていてなかなか読みがいがありました。
おと・な・り【初回限定版】 [DVD]
ラブストーリーという側面もありますが、仕事もプライベートも
転機を迎える30前後の男女が抱える現実を描いた良質なヒューマンドラマ、
という方がふさわしいかも知れません。
仕事も恋愛も、ただがむしゃらにやってきた20代。
それなりに力は付き、生活も安定はしているけれど、
ふと気づくと、自分が本当にやりたかったことを見失っている。
漠然とした未来への不安と孤独。。
そうした普遍的なテーマを、男女それぞれの側から、決して
綺麗ごとだけではなく、熊澤監督らしく丁寧に描いています。
役者の演技も秀逸で、悩む姿、喜ぶ姿もリアリティがあります。
現実ではあれほどの偶然は起きないでしょうが、30代の男女が
お互いを支え合える関係とは、20代のような情熱的な恋愛ではなく、
あんな風に自然に寄り添う姿なのかも知れません。
お互いに隣にいることが当たり前の「基調音」のように。