Coming OUT! (幻冬舎アウトロー文庫)
COMING OUTという問題はその<内容>以上にその<必要性>(「わざわざそんなことをする必要あるの?」)のほうが遥かに重要なポイントなのですが、笹野さんはその点に関しても飾らず素直に自分の意見を述べているので、読者の方もきっと好感を持てることと思います。ただし、それが<笹野みちる>という一人のレズビアンによる一つの意見に過ぎないということはくれぐれも忘れないようにお願いします。つまり、(レズビアンであろうがなかろうが)二人の女性がいれば恋愛に対する答えは二つあり、また二つなければならないのですから、いくら素晴らしいことが書かれていても本書はあくまでも参考書であって決して教科書ではないと思うのです。
泥沼ウォーカー
エッセイと自転車での京都巡り紹介が、交互に書かれています。
京都巡りのでは、カレーのおいしい店や有名では無いお寺など、地元の人ならではの紹介がされています。
でも、日々を楽しめないでいる憂鬱なエッセイ部分と、瞬間瞬間を楽しんでいるかのような京都巡り部分は、180度違う対象向けで、一方を楽しめる人は、もう一方を楽しめないのではないでしょうか。
私はエッセイ部分はとても面白かったのですが、京都巡りは結構読み飛ばしてしまいました。
京都巡りにページが割かれていて、エッセイ部分のボリュームが不足しているため☆3つ。
僕等をさがしに
東京少年のオリジナル3rdアルバム。ここ数年いわゆる「自分探し」がブームですが、この1990年発売のアルバム、タイトルからして「僕等を探しに」!実際「僕を探しに」という曲も収録されている。これは、笹野みちるさんが先見の明があったというよりかは、むしろこの「自分探し」が昔からあった、という証拠であると判断した方が良い。ただバブル終焉期である当時と、戦後最大の大不況で、さらにオウム事件、阪神淡路の大地震を経験した後である現在とは「自分探し」という言葉の意味も、そして「自分探し」の手段も様変わりしている。
ただ
「何を為すべきで 何ができるのだろう
わからない
とりあえず今夜は 電話を取るのを やめちゃおう」…「僕を探しに」
という歌詞は、現代に当てはめても十分に通用すると思う。
その他、生活の全てが暇つぶしな君に向かって歌う「よりみち」、実はこの段階で笹野さんの性向をカミングアウトしていた?な、女の子が女の子を好きになる「ホント?モット!ズット!!」、「らんま1/2」のエンディングテーマとして使われた「プレゼント」なども収録。作詞は全て笹野みちる。作曲に関しては数曲のみ笹野みちる。前2作とは少し歌詞に変化がみられるようですが、その辺は実際に聴いてみてご判断ください。
帰り道
4曲目のサイレント・メビウス〜セイリングがアニメ主題歌だったからか、
1991年浪人時代、予備校の前のローソンでよくかかってました。
帰り道も進む道もよく分からない時代の私のBGMでしょうか。
CDを改めて聴くと、30過ぎても「俺、変わってへん、成長しとらん」事を
突きつけられるいい作品です。
安定した「目標」のない今と、不安で先が見えなくても「目標」があった時代
どちらも不完全。
成長しとらんですな。けど、明日をもう一度信じられる曲がいっぱい。
社会人必聴は「でくのぼうが泣く」ですね。
立ち止まって周りが見えない時、聴いて下さい。