想い出づくり DVD-BOX 全14話収録
絶頂期の山田太一の傑作ドラマのひとつ。今の晩婚時代では少々古臭いが、いわゆる結婚適齢期の女性の心理を細かく描写して高い評価を得ましたが、たしか裏番組が倉本聰の「北の国から」で、世間の話題がそちらに向いてしまったようで「ふぞろいの林檎たち」や「男たちの旅路」に較べると認知度が低いのが残念です。
さめている田中裕子、情熱的な古手川祐子、実直な森昌子の3人のキャラクターがよく、森昌子の演技力の高さは意外でした。主人公の3人だけでなく脇の人物も魅力的で、佐藤慶の田舎の頑固親父(この人インテリをやってもうまいし、凄い演技力)、最初下手に出ておきながら突然亭主関白になる加藤健一、根津甚八のような根津甚八(最終回見ればわかります)など多士済々でした。しかし、なんといってもおそらくこれがテレビのデビュー作であろう矢島健一が絶品です。インテリの矢島健一の語るうんちくの数々、なかでもキルケゴールの言葉は当時、気になって本を買って確かめた記憶があります。いまや「ケイゾク」の刑事や「ライフ」の教師役のみならず多くの映画でも官僚的な憎まれ役をやらせたら右に出るものはない彼の若き日のさっそうとした姿を見ることが出来ます。
振動の考え方・とらえ方
振動に関する書籍の多くは理論・数式中心で、本書は具体的な事例、測定方法などノウハウ的な内容となっています。ただ単にノウハウだけの記述ではなく、理論的にそれを解説しています。また、騒音対策の事例を書いた本はありますが、この本は、機械の振動を記述している、唯一の本ではないでしょうか?
著者は実務経験者が多いのか、内容も具体的で、読み物としても大変面白い内容と感じました。
現場の振動技術者はもとより、構造設計を行う技術者にもお勧めですね!
山田太一ドラマスペシャル 遠まわりの雨 [DVD]
大田区蒲田の小さな工場が舞台。
大きな注文の為に10日で難しい試作品を完成させなければならない時に
社長(岸谷五朗)が倒れる。
夫の仕事を支えてきた妻・桜(夏川結衣)は、昔社長とともに働いていた
腕の立つ草平(渡辺謙)に助けを求める。
ただ、草平は桜の昔の恋人だった。
試作品は完成させることができるのか?
桜と草平の関係は?
この2つが柱で、その他のエピソードとして
・職人の腕と最新のコンピューター技術の戦い
・草平の家庭の行く末
・蒲田の町
がちりばめられます。
圧巻は、ラストの桜と草平の鎌倉のシーン。
若いころに別れてしまった理由がはっきりとは述べられません。
なので、2人の会話から事情を慮るしかないのですが、、、、、。
別れてから20年。
20年後の大人の男女を丁寧に描いた後のラストは、何とも言えない
余韻が残ります。
久々に自分の気持ちより、まわりの人たちの気持ちを思いやるシーンの
続くドラマでした。おせっかいととられがちな今の時代に
上手にこのおせっかいこそが温かいということを描いていると思います。
そのための蒲田の町の設定なのかもしれません。
見終わった後に「男として」「父親として」「職人として」の自信を
取り戻すことに、昭和な気分の良さがにじみ出てきます。
夏川さん、、、、好きになりました。
藤本壮介|武蔵野美術大学 美術館・図書館 (現代建築家コンセプト・シリーズ別冊)
書店で見かけたとき、装丁の格好良さにびっくりしました。
洋書のような佇まい。
カバーを外すと、その裏側もまた格好良い。
写真も、石川直樹さんや笹岡啓子さん、阿野太一さんなど有名な方揃いです。
この光が差し込む空間、いいなあ。
正直、建築は門外漢です。
この本はデザインがすてきだったから買いました。
薄くて大きい本です。
ここに行ってみたいねえ、と本を開く度に話しています。
同窓会 DVD-BOX
同性愛を、というより愛の本質に鋭く斬りこんだ名作ドラマ。
現代(2005年)の連続ドラマでは考えられないようなショッキング
なセリフやシーンが次から次へと繰り出され、とても刺激的です。
内容もさることながら、演じている俳優たちの白熱した演技も見所では
ないでしょうか。まさに魂と魂をぶつけ合うように火花を散らす彼らの
演技合戦は、ドラマをより一層魅力的で力強いものにしてくれています。
情緒不安定ながら菩薩的な包容力を感じさせる斉藤由貴、
切なさに狂う西村和彦、
暴走機関車・高嶋政宏、
健気なふしだらさが初々しい山口達也、
ひたすら哀れな田中美奈子、
反則的な演技の巧さが光る荻野目慶子、
癒しの松村達雄・・・・・
複雑で絶妙な人間関係のなか、出演しているすべての俳優が
持てる力を120%出しきり表現の限界に挑戦しているようにも
見えます。彼らの一人でも欠けてしまったら、このドラマ
の魅力は半減していたことでしょう。
空疎で中身のない現代のホームドラマに食傷している人は、
是非とも「同窓会」を見るべきです。俳優が魂を震わせながら演技する
ことがいかに素晴らしく説得力を持つかがよくわかると思います。
人工芳香剤の安っぽい匂いしか感じさせないドラマよりも、
野性的な体臭を感じさせてくれるドラマの方が大衆の心を掴んで離さない。
「同窓会」はそれを見事証明してくれているのではないでしょうか。