神様のカルテ ~辻井伸行 自作集 =SPECIAL EDITION=
絵画や彫刻そして書などを見ているとそこから言葉や音楽が聞こえてくるかのような感覚を覚えることがある。逆に音楽から言葉や情景を思い浮かべることもしばしばある。
このアルバムは創作者としての辻井伸行氏が、これまでに出会ってきた人々や感じた光景を「音楽」で表現したいわば「短編集」にあたる作品。そのためこれまでに発表された『ロックフェラーの天子の羽』『セーヌ川のロンド』『高尾山の風』『川のささやき』『花水木の咲く頃』も再録されている。本来ならば「全編新作での書き下ろし」が本人の希望だったのかもしれない。
個人的な話ではあるが『風がはこんできたもの』をテレビ番組で耳にした時、不覚にも涙がこぼれた。辻井さんと倉本さんの言葉少ない遣り取りを写し出す映像の背景に流れていたこの曲を耳にして、本来ならば此所にいるべきもう一人の人物の姿が重なって見えたからでもあった。その人物はホストである倉本さんにとっても親交のある人だった。自然と人間の共存、スローライフといったポリシーから常に人間への慈しみに満ちた眼差しを持っている人だった。
厳寒の北海道、林の梢を渡る風から「色を感じる」と言葉少なに話す辻井さんと「感じる言葉」を映像表現にする倉本さんの間ならば、そこで交わされる言葉がそのまま作品として成り立ってしまうかのように感じさせる。視覚や聴覚を含めての障害があっても表現することはできる。それは決してハンディキャップといった負の部分とは断定できるものではない。「感じたまま」を音や色を使って「表現する」にはしなやかで研ぎ澄まされた感性は「光が失われた」ことによって目覚めさせられた別の感覚装置として機能する。
これまで辻井さんは「演奏家」として既出の作品に挑戦し幾多の峰々に登ることで世間に知られてきたが、むしろ本領は「創作者」であると思う。既出の作品を演奏する時に辻井さんはその作者と対話する感じで演奏している。それが『ショパンへのオマージュ』からも感じられる。作品に「息吹」を吹き込む形で演奏することで原作者との遣り取りを楽しんでいる。これは「創作者」としての懐の深さを持っていることで成り立っている姿だと思う。
かつて幾つもの作品が「絵本」から触発され「音楽作品化」されて世に送り出されたように、創作者「辻井伸行」の名で作品化された音楽絵本を何時か手にしたみたい、というのは贅沢な話だろうか。これからも万華鏡のような辻井さんのオリジナル作品に出会えることを十分に想像させる作品だった。
そして最後に一言。前回の「展覧会の絵」からはほぼ一年ほど経過してのこのアルバムの特質として「オリジナルバージョン」と「オーケストラバージョン」での「同一作品を異なる形式で演奏する対比」を試みている点であること。この点から前回の「展覧会の絵」が相当に重たい影を落としていると感じられたことだった。
Number PLUS フットボールのチカラ
中田英寿の表紙に魅かれて買いました。
内容は大きく3部門に分かれている(震災後の中田英寿のサッカーを通じての取り組み・海外のサッカー選手からの応援メッセージ・あの時震災を受けた地元の人々の様子、その後の活動等)のですが、それぞれの取材や、インタビューが丁寧にされていて、とても読み応えがあります。
そして、サッカーがもの凄くグローバルなスポーツである事、そしてそのチカラの大きさを、あらためて感じる事が出来ました。
個人的には、中田のファンなので、ペルージャでのチャリティーマッチで、長友と一緒に笑っている写真がとても印象的でした。
FIFA 2003 ヨーロッパサッカー
サウンド、グラフィック面についてはほとんど完璧。スタジアムの雰囲気(アウェイチームが得点すると盛り下がる)や、選手の顔の表情など(得点後のパフォーマンスも)素晴らしく、つくづく感心する(といっても小野と鈴木は似てないが)。それと相変わらず登録選手とチーム数が多いこと(コリーナ主審も登場することがある)。勉強になります。
でもプレイしていていろいろ不満はあります。選手の走り方があまりかっこよくないとか、GKの動きが単調だとか、あと得点ランキングがいつもいい加減な感じ(MFやDFの選手が上位に来る)だとか。「欧州フットボールシーンの今」を知るためのゲームでしょうか。