FEEL LIKE MAKIN’ LOVE
曲により、ソロ、トリオ、カルテットと編成を変えながら伸びの良い歌声を披露しています。
的確な表現力も魅力で「How Insensitive」は映画の一幕をみるよう。「Blame It On My Youth」や「I'm Glad There Is You」といったバラードも味わい深く「Someone To Light Up My Life」は歌詞の素晴らしさと相まって改めてこの曲の魅力を示してくれます。アルバムのプロデューサーを務めた福田重男(P)の美しいプレイにもしばし、ウットリ!充実したデビュー作品です。
Childhood's Dream
子供の頃の・・・。というコンセプトで作られたこのアルバムを構成するお二人は、国内のジャズファンには説明不要のトッププレイヤー福田重男氏(P)と布川俊樹氏(G)。
このお二人でダサいサウンドに成り様も無いのだがしかし、想像を超えて美しく力強い。
殆どオーバーダビングも無く、お互いの呼吸音まで聴こえる生々しさだ。
福田氏は私が知る限り「ピアノを最もピアノらしく弾くジャズピアニスト」だし、布川氏は納浩一氏(B)との「DuoRama」で極限まで無駄をそぎ落としたサウンドは実証済みだ。
ピアノとギターという異なる世界観を持つ楽器同士のガチンコ勝負の行方はライブで確認されると宜しいのでは(笑)。
ジャンルを超えた極めて良質のアクォースティックサウンドとして、これからずっと何年も聴き続けられる一枚。部屋聴きもドライブもOK。
皆殺し文芸批評―かくも厳かな文壇バトル・ロイヤル
福田和也氏によって平成十年にあとがきが書かれたこの本、80年〜90年に現れた作家が多く取り上げられている。作家の資質の判定(その作家に才能が有るのか無いのか全然駄目なのか)が露悪的に取りざたされ、また、その作家の文学的出自とか、文壇での作家としての身の処し方まで書かれていて、凄くえげつなく、下劣に思えるような言葉も多い。あんたは何様だと言いたくなるような…。特定の作品に対するそれぞれの批評家独自の着眼や文脈を披露しあうような場面がところどころにあって、その中には意外性や新鮮さに満ちた意見があって興味深く読める。世代間の比較も各座談会で頻繁に行われており、全共闘作家や団塊の世代の作家がまだ書き盛りで老人になっていない時代の文学界の雰囲気も伝わってきてその点も興味深い。本書に登場する文芸評論家が死んだ頃に読み返すと更に面白くなるかもしれない。