For Love Or Country: Arturo Sandoval Story [VHS] [Import]
キューバの伝説のトランペット奏者Arturo Sandoval(アルトゥーロ・サンドバル)の“自伝”。
基本的に反革命の映画。 特に80年代以降CUBAを離れていった人々の心境の変化をよく描き出していました。 <アルトゥーロの奥さん・マリア・エレーラ>を通じて我々はその気持ちを汲み取ることができます。「私が外国人を招いたり、主人が好きな音楽を演奏しただけで壊れるような革命ですか? その程度ならやめたら?」というセリフが印象に残ります。
実際のアルトゥーロ・サンドバルはCUBAでカストロ兄弟の次に高級車を乗り回して、豪奢な生活をしていたそうです。 したがって、アンディ・ガルシア演じるところの人物とはかなり違うのだということを実際にアルトゥーロを知る人物から聞きました。 それがトランペット奏者としての彼の価値を貶めるものではありませんが。 どうしても映画には脚色が付き物ですし、ドラマティックにしないと観客を呼べませんからね。 実在の人物と切り離して見なければならないけれども、非常に興味深い作品です。
予告された殺人の記録 (新潮文庫)
結婚披露宴の翌朝、青年サンティアゴ・ナサールが新婦の兄弟の手によって滅多切りにされる。なぜ彼は殺されなければならなかったのか。また、住民たちの多くが事前に犯行のことを知りながらも、なぜ事件は起こってしまったのか。サンティアゴ・ナサールの友人である<わたし>は、住民たちの証言を集め、自らの回想を交えながら、事件とその前後の出来事を仔細にわたって記述していく。そしてその過程において、当事者たちの人間模様や住民一人ひとりの心情や思惑がやがて浮かび上がってくる。
物語は複数の時間軸から構成されていて、殺人が行われるまさにその時へ向かって、時間の経過の中で起きた様々なエピソードが克明に、淡々と描き出されていく。
文庫にして150ページ程度の中篇ですが、名前の付いた登場人物がかなりたくさん出てくる。数えてみると、ざっと30人余りいた。でもそのことで特に読みにくくなるということはなく、この作品において“有名性”という要素はむしろ不可欠なもののように思える。
訳者あとがきによると、著者ガルシア=マルケスはこの作品を自分の最高作としているらしい。また、作家の河野多惠子さんや恩田陸さんが、好きな海外の小説の一つとして本作を挙げている。
愛その他の悪霊について [DVD]
静かな映画である。
台詞も最小限に抑えられ、美しい映像と役者の姿を追う事で話が進む。
マルケスの世界を現実として受け入れ、狂気や毒気、マジックレアリスム的要素を引き算し、
押さえた表現と美しい映像で、幻想的な作品に仕上げている。
マルケス原作の映画で少女が主人公の「エレンディラ」(大好きな映画の一つ)があるが、
映画「エレンディラ」が原作の空気をそのまま味わえるのに対し、
この映画は監督のイメージの世界を味わうものとなっている。
監督が一度咀嚼し取り入れた後に、少女の彫像を彫り上げるように作りあげた印象。
マルケスの作品を知る者からすると肩すかしを食らうが、
約一時間半という短い作品ながら彫り上げられた彫像は冷たく美しく、珠玉の作品。
For Love Or Country: Arturo Sandoval Story [DVD] [Import]
キューバの伝説のトランペット奏者Arturo Sandoval(アルトゥーロ・サンドバル)の“自伝”。
基本的に反革命の映画。 特に80年代以降CUBAを離れていった人々の心境の変化をよく描き出していました。 <アルトゥーロの奥さん・マリア・エレーラ>を通じて我々はその気持ちを汲み取ることができます。「私が外国人を招いたり、主人が好きな音楽を演奏しただけで壊れるような革命ですか? その程度ならやめたら?」というセリフが印象に残ります。
実際のアルトゥーロ・サンドバルはCUBAでカストロ兄弟の次に高級車を乗り回して、豪奢な生活をしていたそうです。 したがって、アンディ・ガルシア演じるところの人物とはかなり違うのだということを実際にアルトゥーロを知る人物から聞きました。 それがトランペット奏者としての彼の価値を貶めるものではありませんが。 どうしても映画には脚色が付き物ですし、ドラマティックにしないと観客を呼べませんからね。 実在の人物と切り離して見なければならないけれども、非常に興味深い作品です。
百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
南米の架空の町、マコンドの草創、隆盛、衰退そして滅亡するまでの百年を
町を開拓したブエンディア家を中心に描いた傑作。
チョコレートを飲んで空中浮遊する神父、四年以上も降り続く雨、異常に繁殖する家畜など
非現実的なエピソードと超人的な登場人物たちによって綴られる不思議な神話の様な物語に
自然と引き込まれてしまう。
この百年あまりの物語に誰もが圧倒されてしまうのは、
そこに人間の歴史の全てが凝縮されていると感じるからではないだろうか?
私が本書を読みながら気になったのは、「ノストラダムス」という名前が何度か出てくるところ。
そのノストラダムスの秘法を心得たメルキアデスによって羊皮紙に記された
予言通りにマコンドは滅亡へと向かっていく。
我々の現実世界では、世紀末を乗り越えた現在、
ノストラダムスの予言を信じているものはあまりいないと思うが、
本書が書かれた60〜70年代頃は結構真剣に論じられていた事を思い出させてくれる。
もし出版社に良心があるのなら、いい加減本書を文庫化して
この傑作をもっと多くの人が読めるようにしてあげるべきだと思うのだが・・・