乳がんと牛乳──がん細胞はなぜ消えたのか
前半は、著者が乳がんを発見するところから始まり、著者が受けた治療とその後の経過がつづられる。
中盤は、著者が病気と戦いながら、自分を乳がんにしてしまった原因を、自分を取り巻く環境の中に見つけようと奮闘する様子が描かれる。「中国人は乳がんにならない。」「中国人の生活で私たちと一番違っていることは何だろう。」そして「中国人は乳製品を食べない。」真犯人は牛乳だという結論が、天啓のようにひらめくまでが、リアルにつづられる。私はこの部分が一番面白かった。後半は、自身が出した結論にしたがって、どのように生活習慣、特に食生活を改めたかが、具体的につづられる。著者は、最良のがん予防食はビーガン食(完全菜食)であろうとしながらも、再発の可能性が薄れてからは、動物性食品を完全に排除してはいない。ビーガンで不足しがちな、亜鉛やビタミンB12などをサプリメントで補給するより動物性食品で取ったほうがいいと考えたからだ。ビーガン食は良い食事だが、難しい食事なのかもしれない。
本書によれば、血中のIGF−1濃度が高いことは、がんのリスク要因である。IGF−1が、がん細胞に働きかけて分裂を促しているのだ。そして牛乳を飲むと血中IGF−1濃度は高くなる。だから、牛乳を飲んではいけないのだ。
私は以前、アンチエイジングドックで、血中IGF−1濃度を測ったことがある。私のIGF濃度は平均に比べてずっと高かった。その結果を見ながら、医師はIGF濃度が高いことは体が若い証拠で、とても良いことだとコメントしたのだ。そしてアンチエイジングのために、血中IGF−1濃度をあげる成長ホルモン投与も行っているようだった。その医師はIGF−1濃度とガンの関係を知らなかったのだろうか。
私は牛乳が嫌いで、ほとんど飲んだことがないし、肉もあまり食べない。だから、私の高いIGF−1濃度は食生活によるものではない。たぶんそれは、私が20年も続けているウェイトトレーニングのせいだろう。ウェイトトレーニングは成長ホルモンの分泌を促すからだ。もちろん、私はウェイトトレーニングを止めるつもりはない。
かつて、運動をすると活性酸素が発生して、体に悪いといわれた時期があった。しかし、統計的に見れば、運動習慣がある人のほうが、健康で長生きする。これは運動のパラドクスといわれていた。最近になって、運動すると体内の抗酸化物質が活性化して、たとえ活性酸素が発生しても、それをカバーして余りある効果が得られることがわかってきた。IGF濃度についても一方方向からだけ見ると見誤る可能性がある。
体はあまりに複雑で、医学の分野で、これが絶対正しいという確証を得ることは難しい。医師の意見もいろいろで、専門分野が異なれば、正反対の治療を行うことも珍しくない。そういう事例を知るにつけ、結局最終的な決定は、自分でするしかないことを痛感する。あなたの命はあなたの手の中にあるのだ。
緊急解説! 福島第一原発事故と放射線 (NHK出版新書 353)
読み終えて難しかった部分もあるが、当時の対応の説明や、放射性物質がどう健康に影響があるのか
理解が深まった。書き方は論文調ではないので読みやすく、まずは福島第一原子力発電所事故が
何なのか知るためには良い。
金谷の日本史「なぜ」と「流れ」がわかる本―中世・近世史 (東進ブックス―名人の授業)
日本史の参考書と言えば石川日本史実況中継が定番となっており、あまりにも有名なのでよく中身も見ないで、買っちゃう人も多いのではないでしょうか?
しかし本書のほうがオススメです。
まず実況中継は歴史の流れを把握するために使用する人が多いと思うのですが、はっきり言って詰め込みすぎです。網羅性の低いサブノートに、メインの本のページのかなりを割いて掲載してる史料、語呂合わせの年代。また4冊合計で1000ページを越えており、流れを把握するという目的には適していないのは明らかで、かといって教科書ほどの網羅性があるわけではありません。つまり目的がはっきりしない中途半端な参考書だと思います。
そこで流れを把握する参考書として本書を使います。本書はタイトルにあるように『流れ』だけではなく『なぜ』も理解できます。つまりそれぞれの事項の因果関係がはっきりわかります。こういうことがあったからそのあとにあんなことが起きたのか〜といった感じに理解しておくことで用語を覚えることがかなり楽になります。
しかし本書だけで入試突破することは不可能です。そのことは著者も本書の中で、私はポイントだけを話すから細かいことは各自で学習するようにという主旨のこと言っています。
ではどのように学習するか?
私がオススメするのは
本書で流れを理解する→教科書を読んでもう少し詳しく知る(本書を読んだ後ならそんな大変じゃないと思います、まだこの段階では覚えようとはしなくても大丈夫です)→著者の一問一答で用語を覚える
といった感じです。
ここで強調したいのは本書はおおまかな流れを把握するのに使用するということです。参考書には役割があります。実況中継みたいに一冊に詰め込みすぎると逆に使いにくくなります。
また史料なら著者の一問一答史料版、初見史料には眠れぬ夜の日本史史料(名前あやふやです汗)、年代暗記なら元祖日本史年代暗記語呂合わせ(こっちも名前あやふやです汗)
などを使えばいいのではないでしょうか?