紙の民
ブックデザインが気に入ったこともあり、Amazonのおすすめを鵜呑みにする形で購入してしまいました。
タイトルの「紙の民」は作中の肉でなく紙でできた人間と、作者と登場人物が対立するという構造の両方を差しているのでしょう。
構造はメタフィクションですが、発想や構造にさほど新規性はなく、思弁的でもないので、よく言われるメタフィクションのイメージで読まないほうがいいと思います。
作品紹介に「奇想天外」とあり、柴田元幸さんの帯の文句にも「奇妙奇天烈」とありますが、これらもちょっと言い過ぎかと。
むしろ際立つのは繊細な描写です。視点を変えた短いパラグラフの積み重ねで物語が形作られていくのですが、どのひとつをとっても独立したショートストーリーとして発表できるのではないかと思うくらい完成度が高いです。それぞれの話者の心理も共感しやすく、抑制がありながらもセンチメンタルな、細いけれど非常に長い余韻を残します。
レイアウトの工夫も相まって、よくできたコラージュのようにも思え、なるほど「紙の民」なんだなあ、と納得して読了しました。
Night Food
エゴラッピン、ファン待望のニューアルバムがでますね。
ジャケットが今までの雰囲気と違うので うっかり 見逃してしまう方もいるかも?!
彼らの懐かしい雰囲気には年配の方から昭和を知らないティーンにも、受け入れられるような上質な音楽です。
夜すこし遅い時間に聴いて見てください♪
Something Jazzy~毎日、女子ジャズ。
やっぱね、ジャズってカッコいいんですよ。
ロックなんて20世紀のテイストでしょ。ヒップホップは何言っているかわかんない。クラシックは眠くなる。でもジャズなら聴ける。なぜなら時代の息遣いをアレンジしてライブに昇華してるから。そんなジャズに女子がハマル。だって演奏がいいんだモノ。さらに演奏している男子がシブカワ揃い。
そんな「女子ジャズ」マインド満載のコンピアルバムがこれ。
と言っても「ああ、喫茶店で流れているような耳に優しい音楽ね。」と思ったらちょっと違う。音楽ライターでもある選者は数多のブルーノート音源からあえてジャズっぽくない曲を多く選んでいます。ミシェル・ペトルチアーニ、ノラ・ジョーンズ、アール・クルー、ジャンルは確かにジャズ&フュージョン。でもその枠にとらわれない活動をしている面々ばかり。モアシル・サントスなんて聴いたことなかった。
「これもジャズなの?」「でも飽きずに何度でも聴きたいな」と思わせる。「ジャズ」の奥深さを感じることができる。
そこが多分このアルバムの狙い所。古いイメージのジャズはディズニーシーに行けばミッキーが華麗に演奏してくれるのだから。
最近のジャズのライブハウス。煙草は嫌煙。食事はイタリアン、カフェオレはもちろんスイーツも豊富、それらをパクつきながら女子はカッコいい男子のリッチな演奏を聴いているのです。
サルバドール・ダリ [DVD]
他にダリ ―科学を追い求めた生涯 [DVD]のレビューも書いているが、そちらのDVDと大きく違う点は、
このDVDはさしてダリの知識がなくても観ることが出来る点である。
個人的には、ダリはいろんな分野の融合を成し遂げた単なる芸術家の域を超えた存在であると考えて
いるが、それをいきなり理解するのは難しいので、こちらのDVDから観てみるとよいのではないかと
思えた。
しかし、それはもう一方のDVDに劣っているとかそういう意味ではなく、切り口が違うということである。
インタビューも多く、作品制作の映像も多く、とても楽しめる構成となっている。
ダリ好きにも、「ダリってどこがすごいの?」と思われている方にも観ていただきたい傑作ドキュメンタリー
DVDである。もちろん☆5つ。